インタビュー

withコロナ時代における働き方の工夫 〜リモートワーク実施企業から学ぶ〜

緊急事態宣言発令後、都内企業のリモートワーク導入率は62.7%となり、3月時点に比べて2.6倍に大きく上昇したことが東京都の調査で明らかになっています。(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/1007864.htm

リモートワークは当初一時的な措置かと思われましたが、宣言解除後も新型コロナの感染が収束に向かう気配はなく、今後も感染拡大防止に努めながらニューノーマルな働き方が求められています。

もはやwithコロナ時代で常識となるリモートワーク。

しかし一からリモートワークへ移行するとなると、業務システムや人事制度、チームビルディングなど様々な観点で会社の再構築が求められます。そのため未だにリモートワーク導入に踏み切ることができない、導入したは良いもののきちんとルールが確立できていないという企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は緊急事態宣言発令以前からリモートワークを一部導入していた2社に、リモートワーク体制での働き方の工夫を伺いました。

 

株式会社カラダノート

「ママびより」、「授乳ノート」など妊娠育児層向けアプリやWEBコンテンツ、健康管理ツールアプリなどの企画運営をしている。

コロナ以前から働くママさんをはじめ、社員の生活に合わせてリモートや時短勤務など導入。

3月末の東京都外出自粛要請に合わせて、全従業員の在宅勤務を実施。現在は従業員の生活状況により柔軟に出勤形態を選択できるようにしている。

株式会社カラダノート
家族の健康を支え笑顔をふやすサービス「カラダノートシリーズ」を提供する、株式会社カラダノートのコーポレートサイトです。
株式会社カラダノートの会社情報 - Wantedly
会社の取り組みや社員インタビューなど株式会社カラダノートの魅力をお届けしています。”家族の健康を支え 笑顔をふやす” をビジョンに掲げ、妊娠育児層向けアプリやWEBコンテンツ、健康管理ツールアプリなどを自社にて企画運営している会社です。 現在は妊娠育児層向けのサービスが中心となっておりますが、よりビジョンに沿った...

 

株式会社Lang-8

言語と文化のグローバルQ&Aサービス「HiNative」及び「HiNative Trek」の企画・開発・運営。

元々柔軟にリモートワークができる体制であったが、3月末に全メンバーフルリモートワークに移行。

株式会社Lang-8
外国語学習者のためのQ&Aサービス「HiNative」・英語学習サービス「HiNative Trek」など、世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有するためのサービスを運営する株式会社Lang-8の企業情報サイトです。
株式会社Lang-8の会社情報 - Wantedly
会社の取り組みや社員インタビューなど株式会社Lang-8の魅力をお届けしています。「HiNative(ハイネイティブ)」は、全世界で利用されているネイティブスピーカーがお互いに言語や文化を教え合うグローバルQ&Aアプリです。 現在全世界232ヵ国で利用され、113の言語で活発にやりとりされており直近では1,500万M...

 

本記事では上記の2社と、緊急事態宣言後に初めてリモートワークを導入した弊社株式会社IPPOの事例を比較しました。

弊社自体はオフィス仲介事業がメインのため、基本的には出社しての事務作業や内見や営業のために外出が多いです。そのため今回初めてリモートでの業務を導入し、従業員の意見を取り入れながら制度を作っていきました。

ハードルを感じた部分も多くあったため、2社と比べてどのような違いがあるのか、また長期でリモートをする際に気を付けるべきポイントは何かなどを見ていきたいと思います。

 

1. リモートワークでの働き方について

1-1. フルリモートワークに合わせて導入した業務上のルール

IPPO

・11-16時コアタイムのフレックス制、自由出社

コアタイムの時間帯はSlackの起動を必須にし、業務開始/業務終了時にはチーム内で当日の業務報告するルールを設定しました。

 

カラダノート

11-15時コアタイムのフレックス制

・勤怠連絡はSlackで行う

・Slackの通話機能を使い、業務中は用事があればいつでも利用して良いというルールを導入。

以前から在宅勤務を運用していたので、業務上のルールに大きな変更はせずにスムーズに移行できました。

 

Lang-8

・Slackでのコミュニケーションがメイン

・メンションへのリアクションの徹底

以前からSlackでのコミュニケーションメインだったので特に変更したルールはありませんが、Slack内も原則DM(ダイレクトメール)でのやりとりはせずに、オープンチャンネルですることでアウトプットをする意識作りをしています。

 

1-2. フルリモートワークで利用したツール

IPPO

・「Slack」と「zoom」

Slackはリモート前から利用していましたが、対面でのコミニケーションが減った分、利用度合いが非常に上がりました。テキストベースでのインプット/アウトプットが増えたため、読み逃しやテキストでのアウトプットに慣れることが必要だと感じます。

またミーティングには当初zoomを使っていましたが、回線が重く時間制限がある為、現在はGoogle meetを利用しています。

 

カラダノート

・「Slack」と「zoom」

前述のSlackがメインのツールになります。

また以前は在宅勤務時にはzoomを常時つなげて作業するというルールを設定していました。しかしzoomは常に接続していると回線が重くなってしまうので、今はその制度はやめてSlackで業務時間中はいつでも通話をして良いという制度にしています。

 

 Lang-8

・「Sneek」と「Discord」

複数のツールを使い、それぞれのグループごとに雑談を交えながら対面と同じように仕事ができる環境を整えました。

その中から2つ紹介します。

Sneek : 1分~5分おきに各メンバーの様子が撮影がされて、今の状況を見ることができます。もちろん監視することが目的ではなくて、「そこにいる感」「一緒に働いている感」が出るので重宝しています。また、相手の画像をクリックするだけですぐにビデオ通話もできるので、zoomを使うほどでもないけどちょっと口頭で話したいという時に便利です。

Sneek: Human contact for remote teams
Sneek is a constant presence tool for digital nomads, remote and distributed teams. See your team mates all day and start instant video chats and group video ch...

 

Discord無料のボイスチャットアプリで、常に通話の状態にしておくといつでも会話できます。

Discord

 

その他のツールについてはLang-8社のWantedlyの記事にさらに詳細がありますので、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。

【メンバー全員リモート勤務開始より10日】Lang-8流 リモートコミュニケーションのTipsと5つのツールを公開します! | 株式会社Lang-8
目次はじめに いままでのLang-8リモートコミュニケーションのTips 1.HRTを極める 2.メンションを見逃さない 3.情報をオープンにする 4.Stand-Upミーティングをするリモート...

 

1-3. セキュリティ面での工夫

リモートワークでは書類やPCデータの取り扱いなど、今まで以上にセキュリティが求められるようになっています。

カラダノート社ではPマークを取得しているのもあり、リモートでさらにセキュリティ強化をしていたので、そちらの事例を紹介いたします。

カラダノート

・PCのログ監視ツールの導入

以前は個人情報を取り扱う部署のメンバーが在宅業務する場合、会社にいる同じ部署のメンバーが代理で行っていました。しかし緊急事態宣言が出てからは全社員が在宅勤務できるように、PCログ監視ツールを導入しました。

画面中央下がカラダノートの彦坂さん

1-4. 情報アウトプットの工夫

IPPO

・オンライン上での全体会議実施

リモート以前から行っていた全体会議をオンラインにし、チームごとの前週の振り返りと今週の方針を共有しました。

目標管理などはもともとGoogleのスプレッドシートで管理していたため、業務の共有はオンラインでも特に支障はなかったです。ただ、チーム内や個人間でのアウトプットが社内に共有されにくいという課題も生じました。

 

カラダノート

・オンライン上での全体会議実施

部署ごとの業務進捗を週毎にレポートをとり、週明けの全社会議で報告をするようにしています。レポートは共通のフォーマットに記入することで統一しました。

新しくコロナによるリスクの項目を追加し、そこに対してどのように回避するかを部署ごとに明記しました。またリスク共有だけだと危機感が必要以上に高まってしまうので、成果報告も併せて行うようにしています。

 

Lang-8

・オープンチャットでの情報アウトプット

前述した通り、アウトプットは齟齬が生じないように基本オープンチャットで行っています。

個人情報や給与情報以外はプライベートチャット、DM禁止にしています。またメンションの徹底をルールとし、情報を見逃さない習慣をつけています。

 

2. 社内コミュニケーションやチームビルディング面での工夫

 IPPO

・オンラインでのこまめなミーティング開催

コミュニケーションロスが起こらないように、対面時よりもオンラインでこまめにミーティングを行うように心がけました。

また業務時間外で一時はzoom飲みを実施し、社員同士交流ができる機会を設けました。

チーム内での連携はあった一方でチームを超えての業務の見える化が難しく、業務のアンバランスなど課題もありました。

 

カラダノート

・部署ごとでのメンタルケア

部署内で月次の1on1、週ミーティングをオンラインで行いました。 また1on1のときは業務の内容は話さないというルールを決めています。

仕事を進めていく上での不安や近況などを話題の中心とし、社員のメンタルケアに努めました。

 

Lang-8

・オンラインで週1の座談会開催

Discordでチームごとに週1の雑談会を開催しています。あえて業務の内容は話さないようにしています。

 

3. リモート手当について

 IPPO

・通信費の一部支給

リモート以前から行っていましたが、電話代やインターネットの利用を考慮し通信費を支給しています。

 

カラダノート

・在宅勤務手当の支給

5月分給料の振り込みのタイミングで、在宅勤務手当てを支給しました。

金額は前月の勤務日数に応じて設定し、あえて利用用途の指定はしていません

ディスプレイやイスの設置費用に充てるメンバーもいれば、配食サービスの利用や子どものためにおもちゃを買うメンバーもいました。

 

Lang-8

・リモートワーク補助金の支給

自宅での仕事環境を整えるためにリモートワーク補助金を支給しました。

金額は基本的に出社日数の割合で決め、利用用途の指定はしていません。またパート、アルバイトにも支給しています。

作業用の設備購入やおうち時間を充実させるためのグッズやインテリア購入などに充てられ、メンバーの満足度も高かったです。

 

4. リモートワークを実施した感想

4-1.リモートワークのメリット

IPPO

・通勤時間・移動時間が省ける

・作業効率の向上

不動産業務で営業が中心の弊社でも、全てではありませんがリモートでの業務は可能でした。

 

カラダノート

・通勤時間が省ける

子育て中で普段は時短勤務をしているメンバーも楽に働けるようになりました。

・営業の効率が上がる

セールスなどお客様に訪問する機会が多いのですが、以前は1日に2.3件しか訪問できませんでした。しかしオンライン訪問になったことで、移動時間が無くなり業務効率は上がりました。業務が増えたというメンバーもいます。

 

Lang-8

・作業効率が上がる

メンバーからは、作業しやすい、集中しやすいという声が上がっています。

4-2. リモートワークのデメリット

IPPO

・導入直後のバタバタ

リモートワーク開始にあたり、オンラインで作業できるものをオンライン化したりバックオフィス系の作業をルール化したりなど、スムーズに作業できるように環境を整えるまでに1週間ほど掛かってしまいました

・コミュニケーションロスが生じる

Slackだけの情報共有には限界があり、メンバー同士の情報共有が課題となりました。

・決裁者の業務過多

オンラインでのアポ数の増加と急なリモート移行により、決裁者へ業務が集中することが多かったです。2、3件アポが終わった後にSlackを見たらメンション数が…といったことも少なくなかったです。

・Slack慣れしていないために情報の見落としが出る

対面でのコミニケーションが取れていた分、非常に初歩的ですがSlackの細かい機能が使いこなせず、手こずるメンバーもいました。

 

カラダノート

・コミュニケーションでワンクッションハードルが生じる

・新入社員が他のメンバーと交流できない

例年部署を混ぜたシャッフルランチを開催していましたが、今年はそのような交流の機会を設けることができませんでした。

 

Lang-8

・対面でのコミュニケーションができない

信頼貯金は対面で話していたからこそできるものであり、スタートアップには欠かせないものだと思います。しかしリモートが長く続けば続くほど、それが減ってしまうリスクを感じています。

画面右下がLang-8の佐々木さん

4-3. リモートワークでの一番のハードル

IPPO

・営業メンバー同士の情報共有

 

カラダノート

・セキュリティ面

 

Lang-8

・雑談ベースでの信頼関係構築がしにくい点

 

5. withコロナ/afterコロナ時代の働き方について

5-1.緊急事態宣言解除後(7月現在)の対応

IPPO

・リモートワーク継続、自由出社の推奨

基本的にはリモートを継続し、自由出社を推奨しています。現在のオフィス稼働率は通常時に比べると3~4割程度で、宣言中に比べると出社率は増加しています。

 

カラダノート

・必要に応じて在宅勤務、時差出勤の推奨

現在全従業員に対する在宅勤務は解除しています。ただ出勤必須ではなく、引き続き在宅勤務が必要なメンバーに関しては、無期限で状況が落ち着くまで在宅勤務ができるようにしています。

以前は職務レイヤーによって在宅可能日数を決めていました。しかし子育てをしている社員が半数程度いるので、今は家庭や保育園の状況に合わせて変えられるようにしています。できるだけ柔軟な働き方ができるように配慮しています。

また時差出勤を推奨しています。そしてそれに伴い朝の一定時間の在宅、自宅での残業を認めています。

今は一部在宅で半分から3分の2程度が出社しており、少しずつリアルな対面が増えています。

 

Lang-8

・フルリモートワーク継続

フルリモートワークを継続しています。

基本的には全メンバーが在宅勤務ですが、開発メンバーに関してはディスカッションやミーティングが週に2〜3割必要なので、現在は最低限開発メンバーが集まることができる新しいオフィスを探しています。

 

5-2.オフィスの価値とは?オフィスは必要か否か

IPPO

・コミュニケーション、メンタルケアのために必要

対面での会話はオンラインではキャッチできない業務上での気付きがあると思います。またメンバーのメンタルケアも対面の方ができると思うので、オフィスは今後も必要だと考えています。

 

カラダノート

・コミュニケーションが生まれる場として必要

ちょっとした雑談から業務のヒントになることもあります。オンラインではなかなか創出しづらいコミュニケーションの機会のためにオフィスは設けたいです。

 

Lang-8

・雑談ベースのコミュニケーションのために必要

スタートアップで世にないものを作る上では、議論や話し合いベースのものが多いと考えています。その部分でリモートコミュニケーションだけでは限界があり、対面が必要です。集まれる場所としてオフィスは欲しいです。

 

6. まとめ

以前からリモートワークを一部導入していたカラダノートさんとLang-8さんでは、フルリモートワークによる支障はほとんどなくスムーズに移行できたことが分かりました。また対面と変わらず円滑に業務を行うための様々な工夫やルールがあり、是非弊社でも取り入れていきたいです。

ただやはり対面ほどリアルなコミュニケーションができないことがリモートワークの課題です。少しでもリアルに近いコミュニケーション方法を確立することが鍵となるでしょう。

アフターコロナで本格的なリモートワークの導入を考えている方は是非参考にしてみて下さい。

タイトルとURLをコピーしました