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ウェビナー「これからの“働く場”とは~リモートワーク導入の効果とオフィスの現状~」レポート

7月29日に社会保険労務士事務所ヨルベの代表・金山杏佑子さんをお招きして、スタートアップ・ベンチャー企業の新しい働き方について考えるウェビナーを開催しました。

本記事では、反響をいただいた当日の内容を一部抜粋してお伝えします。

スピーカー

社会保険労務士事務所ヨルベ代表・社会保険労務士 金山杏佑子さん

2019年に社労士事務所ヨルベを開業。スタートアップ企業の労務管理に注力し、関与先支援のほかアクセラレータープログラムのメンターも行う。また現在は編集長として人事労務メディアclassworkの立ち上げも行っている。

スタートアップの労務管理 | 社会保険労務士事務所ヨルベ
社会保険労務士事務所. ヨルベ. 社会保険労務士事務所ヨルベは、ベンチャー、スタートアップ企業の労務管理を主要業務とする東京都中央区の社労士事務所です。

 

株式会社IPPO・メディアリーダー/新規事業部 山岸耕

スタートアップ専門のオフィス仲介。ペイミー、AppBrew、yutoriといった企業の創業当社からオフィス移転を手がけ、多くのスタートアップの移転を経験。ハカドルの編集責任者でもある。

https://ippooffice.co.jp

 

モデレーター 株式会社IPPO アドミニストレーター 大野茜

 

1. 国内と海外企業の動向は?

第1章では新型コロナウイルスを受けて国内外での企業がそれぞれどのような対応をしていたかを金山さんからご紹介いただきました。

金山:まず富士通に関して反響が大きかったのが、3年後の2022年にオフィス面積を半分にするというものでした。

富士通、オフィス半減発表 在宅勤務支援に月額5千円
富士通は6日、国内のグループ会社を含めたオフィススペースを2023年3月末までに半減させると正式発表した。全国で約60カ所の事業所を保有、約380カ所を賃貸契約しており、計約120万平方メートルのオ

富士通はテレワーク勤務を基本にして、どこでも働ける新しい職場環境を提供するというメッセージを発信しています。またそれに伴い、オフィス出社率を最大25%にするなどの取り組みもされるそうです。

次にミクシィです。ミクシィは10月以降から勤務制度を本格刷新することをリリースしています。

ミクシィは、新しい働き方を模索し続けます|ミクシル
新型コロナの流行が騒がれはじめたのが、今年1月の始め。未だにはっきりとした収束が見えないまま、約半年が経ち、7月を迎えました。ミクシィでは、1月末から段階的にリモートワークへと移行しており、6月末時点…

コロナ対策として4~6月は原則フルリモートでしたが、7~9月の間で原則オフィスに出社、週3日までリモートOKという形に切り替えたそうです。そして7~9月までをテスト運用期間とし、それを踏まえて10月以降の勤務制度を決めるそうです。

ミクシィの大きな変更点を以下にまとめました。

コアタイムを短くして時差出勤を推奨しやすくし、働き方の自由度をもう少し上げることと、環境支援の導入やデスクトップPCの自宅配送などのサービスも手厚くしています。

方向転換した理由は、今後どのように長期的に考えていくかという所を改めて考えるために、この業務にはリモートか出社かどちらが良いのかというのを改めて見直し、より効率的にしたいという考えがあったからだそうです。

大野:このような事例は今後他の企業にとって参考になりますね。

金山:そうですね。
次は海外の例を挙げます。Googleは2021年夏まで在宅勤務を延長すると発表しています。収容人数の20%または30%でオフィスを稼働し、従業員は交代でオフィスに出勤するような形を取るそうです。

ただリモートワーク中心とはいえ、「どのような状況でも人々が集まるための物理的な空間は必要であり、働き方を軌道修正したとしても、オフィスの敷地面積には関係ない」というような趣旨のメッセージをCEOが自ら発信もしています。
もともとオフィスを拡大する計画を立てており、コロナの影響があったとしても計画の修正はしないそうです。

グーグルは完全なリモートワークにならない可能性--ピチャイCEO
FacebookとTwitterは、従業員に在宅勤務を許可するポリシーの大きな変更を発表したが、グーグルはより慎重なアプローチを取ると語った。

また日本のスタートアップ企業のLayerXは、緊急事態宣言の初期の頃にはオフィスを解約して原則リモートに移行すると発信していました。
しかし会社としての方向性を考えた上でオフィスワークに戻すことを決定し話題となりました。

さよならオフィス(下) 「解約やっぱりやめた」僕らがオフィスに戻るワケ
 6月18日、ブロックチェーンベンチャーのLayerXは経営会議で新奇な意思決定をした。「オフィスの解約、やっぱりやめよう」。一度は解約通知を出し、移転すると決めた方針を撤回した理由はどこにあったのか。

LayerXは働き方についてポリシーを持っている会社の代表例なので、今後も動向を参考にしていきたいです。

 

大野:このような各企業の動向に加えて、働き手の皆さんが今どのような働き方をしているのかを見ていきます。

IPPOがTwitterでアンケートを実施したところ、「あなたの今の勤務体系について教えて下さい」という問いに対して、「会社に何かしらの形で出社している」と答えた方が45%程度、「自由出勤」と答えた方が約36%でした。

山岸:緊急事態宣言が明けたというのもあって、出社に戻そうという動きだったり、引き続きリモートだったりの動きで、きれいに4分割されている印象ですね。

大野:続いて今後オフィスの出社はどのようにしたいかという問いには、「自由出勤」と答えている方が多いですね。

出社したいという方は30%程度でした。
オフィスの方が仕事が捗るという方、チームでの業務があるため出社したいという方がいる一方で、今後も自由出社を求める声が多かったです。

2. 今のスタートアップの移転市況と不動産市況

前の章では国内外の大手企業の動きを紹介してきましたが、2章ではスタートアップの移転動向を弊社の山岸から紹介しています。

山岸:タイトルがだいぶインパクトありますが、ダイヤモンドさんから取材を受け、4月以降オフィス縮小の相談件数が非常に増えているということをお話ししました。

またオフィスの移転件数の推移に関しては、弊社がお手伝いした案件の件数でいうと、4~6月は通常より非常に案件数が減少しました。特に緊急事態宣言後の4、5月がとても件数が少なかったです。

大野:オフィスの内見ができないことが影響していそうですね。

山岸:まさしく大きな要因として今大野さんがおっしゃったように、緊急事態宣言が出たため、物件のご案内をストップしていることが多かったです。また、この状況下でで「オフィスをどうするか」と考え、様子を伺っていた方も多いと思います。

大野:すぐ決めたいけど決められないという感じですか?

山岸:そうですね。もともと移転を計画されていた方もやりたくてもできないだとか、オフィスを移転したいけれども準備ができないだとか…。あとスタートアップの会社さん周りでいうと、資金調達のお話がストップしてしまった方もいらっしゃいました。

金山:賃料が大幅に下がることはないのですか?

山岸:極端に下がることはないと思います。
お客様にも良く聞かれるのですが、不動産のマーケット自体が解約予告などの関係で、募集が出るのが通常の景気に比べて若干後ろ倒しになります。そのため緩やかに下がっているが正しいと思いますす。

金山:実際移転をするベストタイミングはいつなのでしょうか?

山岸:マーケットも大事ですが、一番はその会社さんがどのタイミングで移転したいかというのが大事かなと思います。
まず「コミュニケーションを取るためにはオフィスが必要だよね」「対面で会う頻度は?人数は?」といった市況感よりもまずは組織作りのための方針が重要です。この部分に関してはパート4でより深くご紹介します。

今回は緊急的・強制的にリモートワークに変わりましたが、今後はそういった議論が活発になっていくと思います。

3. コロナで浮き彫りになった労務上のポイントと解決方法

続いて第3章では、実際リモートワークを導入した企業から金山さんに相談があった労務上の事例の紹介とリモートワークで活用できる助成金補助金についてお話いただきました。

3-1. リモートワークにおける労務上のよくある問題

金山:いくつか相談された事例を挙げます。

ネット回線やコピー機といった実務に影響のあるものの経費をどうするかは相談が多かったです。

また同じくらい多いのが働きすぎの相談です。
リモートだと自分の働いている姿を見てもらえないため働きすぎてしまうそうです。
特に新入社員の方などアウトプットがしづらい方は、評価されるかどうか不安なので働きすぎてしまうというケースがあります。

山岸:私もオンラインでの業務が増えたことで、移動がなくなった分、逆にアポ数が増えて一人で作業する時間が日中に取りづらくなる日も多かったです。

金山:リモートワークによって効率は上がりますが、区切りがないので働きすぎちゃうというケースはありますよね。

他にはハンコ問題があります。
ハンコがオフィスにしかないので、バックオフィス周りの人の出社がどうしても必要になってしまうことが多く、不公平感が出てしまうという問題です。

まず会社がやらなければならないこととして、クラウドサインの導入や不公平感の解消、明確なルール決めが一番重要だと思います。
例えば快適な環境で働いてもらうためには、支給する金額、また会社としてどのようなルールに基づいて、どのような利用方法で使ってくださいだとかなど、会社としてどのようにリモートを進めてもらうかを明確に決めて示す必要があります。

山岸:なるほど。
あとはディスプレイとか経費落ちるのかなということを考えず、気づかないで買っちゃいますもんね。光熱費などもそもそも自分が払うものという感覚だったので、そのあたりも相談できるんだというのは驚きました。

金山:それでいうと光熱費などは新たに負担させる場合、不利益変更になってしまうのでルール決めが必要になります。

会社が「光熱費は従業員の負担とする」という取り組みにしたのであれば、規則として明記しなければならないことが労働基準法によって決められています。
就業規則法則に埋め込むでも良いですし、不足としての契約規定というのを決めて費用負担とか勤務の開始終了の時間をいつにするかとか、評価制度は変更しないだとか…。

オリジナルなものでなくてもいいので、会社としてこれでやりますというルールを決めておくことは大事ですね。
テレワーク規定モデル就業規則が厚生労働省から出ているので、是非参考にしてみてください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

他にも決めなければならない項目は、通信費や情報通信機器購入費など費用負担の取り扱いをどうするかについてです。労働者負担が大きくなりがちな部分なので、早めに決めて早めに明文化しましょう。
また就業規則を変更するのであれば、届け出が必要なのでそれも忘れずに行いましょう。

厚生労働省のガイドラインを是非参考にしてみてください。
ネット環境の導入の仕方については、総務省の方からガイドラインが出ているので検索してもらったり、社労士に相談してもらうと良いと思います。

3-2. リモートワークで活用できる助成金・補助金

金山:次にリモートワークを導入する際の予算の問題に関してです。実は助成金には中小企業が活用できるものが様々あります。

申請できる助成金・補助金の例

テレワーク助成金(東京都) ※〜7/31まで

 https://classwork.news/tokyo-telework-subsidy/

働き方改善助成金(厚生労働省)

雇用調整助成金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

・家賃支援給付金 https://yachin-shien.go.jp/index.html

・持続化給付金 https://www.jizokuka-kyufu.jp

・融資関連 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shikinguri_list.pdf

例えば「テレワーク助成金」は7月末に終わってしまいましたが、これはすごく良い手当でした。東京都が提供する、上限200万までで10割補助の助成金です。
初めは緊急事態宣言を受けて5月末までかつ100社限定でしたが、コロナが長期化する状況を鑑みて、さらに予算が80億円投下され、対象も3000社にまで拡大されました。

また、それ以外に厚生労働省の「働き方改善助成金」もあります。これは全国が対象です。

このように中小企業向けに助成金は沢山あるので、まず情報をキャッチして上手く活用してほしいなと思います。

山岸:給付金とか助成金は数が多すぎて、自分の会社がどこに当てはまるのか分かりませんという相談をお客様からよく聞きますね。とりあえず困ったら金山さんに相談しても大丈夫でしょうか?

金山:そうですね、今回参加されている方で分からなかったら是非聞いてください!必要な税理士や行政書士を紹介したりとか、お手伝いできます!

4. これからのオフィスについて

4章では今後の働き方を見据えて弊社の山岸からオフィスのあり方について話しました。

4-1. 今後の新しいオフィスの選択肢

山岸:下に提示したのは、通常オフィスを移転するときに主に選択肢として上がるものです。

金山:沢山種類がありますね。

山岸:はい!ただ今後働き方が多様化してくると、この選択肢だけでは足りないと思っています。今新しい働き方として各社が以下のような取り組みをしています。

例えばサテライト型シェアオフィスの「H1T」は、会員になれば各H1Tシリーズのシェアオフィスを時間制で利用できるというシステムです。コワーキングのチェーン展開というイメージが近いですかね。

「WeWork」は、スタートアップにとっては結構価格が高いという声も多いのですが、「WePassport」というものが導入され、各拠点を自由に使えるというフレキシブルな使い方を新しく提示しています。

大野:1つの所で作業し続けるのは集中力が続かないので、場所を変えながら仕事をしたいという方にとってはとても良いですよね。

山岸:そうですよね。他にも各デベロッパーごとにワークスタイリングシリーズやSENQ/WAWシリーズだったり系列のシェアオフィスを使えるものもあるので、気になるようでしたらぜひご相談ください。

また逆に家で仕事をする方向けにも様々なサービスが展開されています。
例えば家具のレンタルサービスを行っている「CLAS」は、住居のオフィス化をしたい方向けに通常よりも手ごろにオフィス家具がレンタルできるキャンペーンをしていました。

家具・家電のサブスクリプションサービス CLAS(クラス)
CLAS(クラス)で家具・家電を買わない・捨てない・持たない生活をはじめよう。必要なときに、必要なものだけを使う。もっと気軽で心地よい暮らしを。

大野:住居兼オフィスを構える時に、オフィスのイスはCLASから選んだりとかもできるわけですね。

山岸:そうです。もちろん通常のビルオフィスに入られている方もレンタルできますし、個人で在宅ワークをする際に試しに使ってみませんか?と、コロナ禍で新しい働き方のニーズに合わせていち早くこのようなサービスを提供されています。

また、今回テレワークが普及したことにより、オフィスの在り方は今後東京中心ではなく、全国規模で選択肢を広げられると考えています。
すでに各地で助成金やオフィスを借りる際の補助金を含めてスタートアップ・ベンチャー企業の誘致が盛んに行われています。

「地域名 補助金 ベンチャー」といったキーワードで検索していただければ非常に多く出てきます。

自分たちの新しい支社機能だったり、自分の望む生活を両立させるためにあえて東京にこだわらないで地方に住んだりなど、オフィスの選択肢は今後ますます広がっていくと思います。

大野:それこそ先日発表のあった「ワーケーション」など、各県で施設を作ったり、おしゃれなホテルみたいなところで仕事をしたりだとか、そのような生活ができたら良いなと思いますよね。

山岸:そうですよね。やっぱりコロナの感染数を見ても東京の過密は顕著だなと思うので、地方に少しずつ人が移っていく動向はあると思います。

大野:会社が「完全リモート化します!」とか「地方移住許可します」など決めてくれたら動きやすいんですけどね。今決断するのは勇気がいりますね。

4-2. オフィスに求められるものとは?

山岸:やはり今後オフィスをどうするか決めるには、直近の動きと今後の事のどちらも考えていく必要があると思います。

想定される直近のオフィスのニーズと将来的なオフィスのニーズを以下にまとめました。

上の薄い青の部分が今直近で求められているニーズかなと思います。

一方で下の濃い青の部分は、現在の働き方の試用期間を経て将来的に求められると思う部分です。
今後「メンバーとミッションなどを共有したい」など、対面で一緒に時間をとることが必要だよねという声が大きくなってくると思います。

弊社の実施したアンケートで「オフィスに一番求めるものは何ですか?」という問いの答えとして、やはり圧倒的に多かったのは「議論や共有する場」、いわゆる「社内コミュニケーションを生みたい」という意見です。

弊社自体も緊急事態宣言中リモートワークを実施してみたものの、やはり対面でのコミュニケーションは非常に大事だなと感じました。
普段みんなが一緒にいるからこそ業務に対しての気づきが生まれるのだと思います。
サービスのアップデートやプロダクトにつながる部分のために、毎日とは言わなくても週に数回か月に何回かで対面でのコミュニケーションは非常に求められるでしょう。

金山:GMOの熊谷さんもそのようなことをおっしゃっていましたね。

在宅勤務が進んでも、月3億円の家賃でも「オフィスは必要」 GMO熊谷社長の哲学
オフィスは武器だ──。テレワークの普及でオフィス需要の低迷のみならず、場合によっては不要論すら叫ばれるなか、GMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長は必要性を説く。その理由は。

山岸:そうですね。
熊谷さんは、「コミュニケーション貯金」についてお話されていて、非常に共感しました。
またリモートワークをバリバリしているスタートアップに取材をしたときも、全く同じことをおっしゃっていました。
「今まで対面で信頼関係ができていたからこそ、リモートワークをしても上手くいっている」と。
その話を聞いて確かに新入社員の方がいきなりリモートで業務にコミットしてくださいと言われても、なかなか帰属意識は持ちづらいだろうなと思いました。

そのためオフィスの在り方というのはただワークスペースとしてではなく、究極をいうと組織論に繋がるものだと思います。

あと個人的に一番問題だと感じるのは、会社の経営者の方と従業員でオフィスに対する考え方にギャップがあることです。

私自身、従業員の立場としては、コロナウイルス感染のリスクを考えるなら家から出たくないなと思います。
一方で経営者のお話を聞くと、会社としての一体感やミッションを共有する場としてオフィスが必要と考えている方が多いです。

そのようなギャップを解消するため、会社は「オフィスが必要か否か」ではなく、「会社の組織としてどのように今後やっていきたいか」次第でオフィスを使うか使わないかを考えていくべきだと思います。

 

まとめ

今回のウェビナーでは現状の各企業の動向などを踏まえたうえで、今後の新しい働き方について考えていきました。

オフィスの在り方は今後も社会状況に合わせて変化していくと思いますが、皆様が直近でどうしていくべきか、また今後どのようにオフィスを設定していくか考えるためのヒントになれば幸いです。

ハカドルでは今後も新しい働き方やオフィスの在り方について情報を発信をしていきますので、是非チェックしてください!

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