インタビュー

オープンイノベーションオフィスSENQシリーズがベンチャーに選ばれる理由 -第1回 開発から運営まで手がける日本土地建物株式会社に聞く-

今回はベンチャー・スタートアップ企業が多く入居している「SENQシリーズ」についてご紹介します。

SENQシリーズは日本土地建物株式会社さんが手がける「オープンイノベーション」をテーマにしたシェアオフィスで、

京橋、青山、霞が関、そして2019年5月にオープンした六本木の4拠点があります。

ベンチャー・スタートアップ企業のオフィス移転を仲介するIPPOでも、直近でSENQシリーズを仲介する機会が非常に増えており、
他のシェアオフィスと違いなぜここまでお客様から選ばれるのかを2回にわたって取材をしました。

今回その第1回としてSENQシリーズの立ち上げメンバーの方々にお話を聞き、SENQの誕生秘話から、ベンチャー・スタートアップ企業にいかに親和性のあるオフィスなのかを聞いてきました。

また第2回は昨年5月にオープンしたSENQ六本木の入居テナント様にインタビューをしています。

運営するオーナー様と入居しているテナント様の両軸からSENQの魅力を解いていきたいと思います。

(日本土地建物株式会社)
SENQ立ち上げメンバー
野口美隆様
中川言一様
小野麻衣子様
※以降敬称略

上記3名にお話をお伺いしました。

1 なぜSENQシリーズは誕生したのか?〜SENQ誕生秘話〜


SENQ立ち上げメンバー野口美隆 氏

Q.  「SENQ」シリーズの誕生の背景を教えてください

実は京橋、青山、霞が関は都市開発事業の中で別軸で動いていたプロジェクトが途中でSENQとして一つのコンセプトを持ってシリーズになったのです。

当時は、シェアオフィスの市況でいうとまだWeWorkも上陸しておらず、同業他社も少ない状況でした。

社会的にベンチャー・スタートアップを支援する流れがどんどん大きくなっていくと予想し、不動産を活かしてベンチャー・スタートアップの成長を支援することで通常のビルに+αの付加価値をつけた施設を目指したいと考えておりました。

現在の「SENQ」で行っているような支援サービスはプロジェクトチームの当時の予測と各拠点での試行錯誤を基にできています。

Q. もともとは別軸で進めていたプロジェクトだったのですね!SENQ京橋のプロジェクトはどのようにしてスタートしたのでしょうか?

スタートは「京橋エドグラン」という建物を再開発するのがきっかけになっています。

不動産デベロッパーの特性だと思いますが、各地域の産業PRなど様々な視点から”公共貢献”を考えそれを足し算していきます。

再開発の中で発生するミッションをクリアし、規制緩和をすることによって初めて建物を造るという事につながると考えています。

地域の活性化とビルの再開発とのバランスを取りながら実現していきました。

Q.  自社でビルを作るのとは違い再開発だと制約も多そうですが、苦労した点などあれば教えてください


SENQ京橋の吹き抜けのあるラウンジ

SENQ京橋は建物の構造上大きな吹き抜けがあります。通常であれば実現したいオフィスが先にあり、内装で手を加えることが多いです。

SENQ京橋の場合は逆で、既存の構造を活かしながらシェアオフィスを作るという課題がありました。

その吹き抜けを上手く活用したいために、大型ラウンジにして魅力ある“場”を作りたいと思いました。

今では一般的ですが、ラウンジは「イベント開催の場」としても利用ができ、イベント利用がないタイミングでは「共用で使えるフリーアドレスの場」としても機能しています。

本来であれば、収益重視で小割りにして全てシェアオフィスにしてしまうこともできました。

ただ”地域産業貢献”を考えた上で行政からのミッションと私たちのノウハウとで、うまくマッチした結果このような利用の仕方が生まれました。

2 ベンチャー向けシェアオフィスビジネスを展開するまでの苦労


左からSENQ立ち上げメンバー小野麻衣子 氏、中川言一 氏

Q. オープンまでに一番大変だったことは?

通常のオフィスビル開発では、物件の開発とオペレーションは別の部署が担当しますが、SENQでは物件の開発からリーシング、施設のマネージメントまで全て一貫して行ったことが大変だったと思います。

期限が限られている中でほぼ同時に3拠点の開業準備を進めるので大変でしたが、関連する部署と協力しながら何とかオープンまでたどり着くことが出来ました。

Q. 他のシェアオフィスではコミュニティマネージャーとして専門の人材を雇ったり、外注の運営スタッフだけいることも多いと思いますが、開発担当者が入居後まで物件と関わるのはかなり珍しいですよね?

建物のスペックを高めるために設備などのハード面を高めていくというのは、デベロッパーとして至上命題です。

ただ、建物の価値を高めていくのはハード面だけではありません。

サービスなどのソフト面をどう提供するかという側面も必要で、それは作る段階から運営開始した後まで継続的に携わることで物件の価値付けを一貫させられることメリットもあります。

建物を作る人が作って、サービス提供は別の人が行って…という縦割りの役割分担だけでは建物の価値も今後上がっていかないだろうと考えています。

3 SENQシリーズのコンセプトオフィスとは

Q. SENQシリーズには各拠点ごとでコンセプトがありますが、それぞれどういった背景で付けられているのでしょうか?

3-1 SENQ京橋「FOOD INNOVATION」

先にお伝えした通り、中央区からの地域産業貢献がミッションとしてありました。

その中で築地や銀座といった近隣エリアの特性を加味して「食」をテーマにしたコンセプトオフィスにしています。

シェアキッチンもあり業務でもイベントでも利用可能です。


フードテック企業が抱えるキッチンの内装コスト問題に対応したシェアキッチン

SENQ京橋 | SENQ - 日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス
SENQ京橋は京橋駅直結。東京駅、宝町駅、銀座一丁目駅からも徒歩圏内の好立地。大型再開発ビル「京橋エドグラン」内にあるハイグレードオフィスです。 施設テーマは「FOOD INNOVATION」。食を想起させる素材とデザインを採用したオフィスの他、シェアキッチンも設備。実食を伴う商談やレシピ開発も行えます。

3-2 SENQ青山「CREATOR’S VILLAGE」

SENQ青山は建替えプロジェクトなのですが、建替え前は当社の「Lattice aoyama(ラティス青山)」という施設がありました。

「Lattice aoyama」は築38年のオフィスをコンバージョンしてクリエイター向けのSOHO(住居兼事務所)に蘇らせたプロジェクトで、デザイナー、アーティスト、クリエイターが集まり、カルチャーの発信地になりました。

SENQ青山は「Lattice aoyama」のコンセプトを継承し、クリエイターのニーズに合わせたスモールオフィスを提供しています。

1階にはカフェやコンビニなども充実し、施設内にはバルコニーとも違ったオープンエアオフィスなどもあります。

ワンフロアですがオフィススペースと会議室などのオープンスペースも完全に分けられており、働き方に合わせて切り替えがしやすいよう配慮をしています。

また入居者の方はクリエイターの方が多いため、デザインにこだわった家具を用意しています。


開放的なオープンエアオフィス

SENQ青山 | SENQ - 日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス
SENQ青山は青山一丁目駅より徒歩1分、乃木坂駅より徒歩8分、信濃町駅より徒歩13分、3駅5路線利用可能な好立地なオフィス。 「CREATOR'S VILLAGE」を施設テーマに掲げ、上質なラウンジや会議室、半屋外のオープンエアオフィス、共用ワークプレイスをご用意。緑や光、風が感じられる心地よいオフィスです。

3-3 SENQ霞が関「LEAD JAPAN」

 

ベンチャー、大企業、地方自治体、地域リーダー、官公庁など、日本を牽引する方に向けたコンセプトオフィスです。

他の拠点に比べて行政との結びつきの強いテナント様が多く、イベントなども行政タイアップのものも多く行われます。

ラウンジは特にデザインにこだわっており、イベント時など外部の方からも好評です


広いラウンジスペースはイベントなどの利用も可能

SENQ霞が関 | SENQ - 日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス
SENQ霞が関は虎ノ門駅より徒歩1分、霞ヶ関駅より徒歩3分、中央官庁が集結する霞が関・虎ノ門エリアにあるオフィスです。 施設テーマは「LEAD JAPAN」。テーマに即したイベントを多数開催。中央官庁が集積する立地を活かし、官民連携を軸に情熱と新たなテクノロジーを集結させて、社会と地域の課題解決を目指します。

3-4 SENQ六本木「CHANGE THE THEORY」

2019年5月にオープンしたSENQシリーズの最新オフィスです。

様々なビジネス・情報・エンターテイメントが融合する六本木において、これまでの既成概念や常識を覆すような革新的なサービスやプロダクトの創出の場がテーマになっています。

またベンチャースタートアップ企業だけでなく、ベンチャーキャピタルをはじめとする支援会社もテナント様として迎えています。

9階共用部はカジュアルなデザインの内装を施し、広いバルコニーがあるのが特徴です。

また各部屋には天井スケルトン、床を木目調にするなど入居時からデザイン性のあるお部屋が利用できることもメリットの一つです。


六本木のエリアに合わせたカジュアルなラウンジスペース


六本木が一望できる広いバルコニー

SENQ六本木 - 日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス
SENQ六本木は六本木駅徒歩1分に位置し、5フロア合計約826坪、バリエーション豊富な36室の個室とコワーキングスペースで構成されたエリア最大級の規模の施設です。施設テーマは「CHANGE THE THEORY」。これまでの既成概念や常識を覆すような革新的なサービスやプロダクトの創出の場を目指します。

Q. 拠点毎にコンセプトを変えることは通常のシェアオフィスでも中々見ないですが、どのような狙いがあったのでしょうか?

各拠点のコンセプトに合わせたイベントの開催が可能になります。

例えばSENQ霞が関であれば行政向けとのタイアップイベントを行うことで、エリアの特性もあり外部の方も参加がしやすくなります。

またテナント様も「LEAD JAPAN」のコンセプトで入居いただいているので、イベントに親和性の高い方が多く参加しやすくなっています。

その他にもSENQ京橋であれば、シェアキッチンを活かして食にまつわる企画なども行っています。

Q. コンセプトの実現に向けてこだわったポイントはありますか?

先にも挙げた通り、立ち上げの段階から携わっていたメンバーがそのまま施設の担当者になり、入居審査の際に申込者と直接面談をしているので、入居後もどういったテナント様か理解した上でフォローができます。

また共用部などの実務を行うスタッフとも密に連携をとっています。
そのため日常の些細な相談事や要望なども早期に反映することができます。

4 SENQシリーズがベンチャーに選ばれる理由

Q. SENQ六本木をはじめ弊社でもご紹介する際に反響があったポイントですが、契約形態もベンチャースタートアップにかなり配慮をしていると思いますがいかがでしょうか?

非常に試行錯誤した点です。

通常の物件であれば、契約期間、初期費用、審査のハードルなど全てをベンチャー・スタートアップの方が望む形にするのはハードルが多いです。

そうした中でSENQシリーズは1年定期借家契約にしています。

 

ベンチャースタートアップの方は人数の増減が読みづらい事も多いため、2年や3年といった契約期間はテナント様にとって負担が大きくなりがちです。

また初期費用についても極力コストを抑えられるようにしています。
一般的にルームを借りる際は、保証金2ヵ月+入会金1ヵ月の約3ヵ月分で抑えられるようにしています。(※一部ルームを除く)

また審査のハードルについては、一般的な決算報告書3期分などだけではなく、施設担当者等との面談で判断しています

入居にあたって施設のコンセプトを理解していただくとともに、こちらも数字だけでなく直接事業内容を理解したいという意図があるんです。

Q. 入居後に受けられる「メンター制度」とはどういった内容でしょうか?

元々はSENQ京橋を立ち上げる際に、ベンチャー・スタートアップを支援するプログラムとして、メンター制度を検討したのがきっかけです。

開業前からメンター制度のPRをしたところ、ベンチャー・スタートアップよりむしろ大企業の新規事業担当者さんやベンチャー支援会社など、ベンチャー・スタートアップを支援する側から広く反響がありました。

この反響は、当時社内のSENQプロジェクトへの評価が大きく変わったきっかけにもなりました。

現在ではメンターやアライアンスパートナー企業様が定期的にイベントを行い、テナント様と積極的にコミュニケーションを取れる場を提供しています。

また施設担当者がテナント様に対して、シナジーがありそうなメンターやアライアンスパートナー企業様をご紹介する事もあります。
入居時からコミュニティマネージャーがテナント様の事業内容を伺っているため、マッチする企業様をご紹介することができます。

5 SENQに込めた意味とは〜日本土地建物の今後〜

Q. そもそもどうしてSENQという名前になったのでしょうか?

時代の”先駆者”になるようなイノベイティブなテナント様に沢山入居してもらいたいという思いを込めています。
また、我々自身も時代、業界の”先駆者”として取り組んでいくんだという熱い思いを込めてネーミングをしました。

また、”SENK”ではなく、”SENQ”となっているのはミッションを持って取り組むためQuestや満足度を意識したQualityの意味を込めています。

弊社自体も歴史のある企業でありながら、ベンチャーマインドを強く持つようにしています。

今思えば、立ち上げ前や直後は、社内外からは「大丈夫なのか?」と結構心配されていました。
弊社としても初めての取り組みなので、契約形態からプロモーションのためのHP/SNS運用なども一から学びました。

またシェアオフィスにすることで他の自社ビルに入る前のシード、アーリーのベンチャー・スタートアップとも関係構築できることを社内にも伝えていきました。

SENQシリーズを立ち上げて形として実現ができたことで社内からも少しずつ理解をされるようになっていきました。

また社外からもSENQの拠点が増える毎に非常に反響がよくなっていきました。

最後にオープンしたSENQ六本木は1年をかけて満床にする予定が、3ヵ月でほぼ全ての部屋が埋まるという驚異的なスピードでした。

Q. 大手企業の中で新しいことをするのも相当な苦労があったのですね。これからのSENQシリーズの展望や課題など、話せる範囲でぜひ教えていただけますか。

まだリサーチの段階なので、むしろ仲介をするIPPOさんから教えていただきたいです。(笑)

ただ働き方がどんどん変わっていく中で、都心以外のエリアで働く方たちをカバーしたいとは考えています。

必ずしも都心じゃないと起業できないというわけでもないので、サテライトでベンチャー・スタートアップ企業が活躍できる場を作るというのも良いと思っています。

今後も自社ビル、開発、賃貸、ノウハウを提供する など様々なアプローチ方法があり、まだまだ模索中です。

また「会社が大きくなるのでSENQから移転します」という非常にいい形で卒業していってくださる方が多いので、
SENQシリーズから卒業した方ともご縁が続くようなこともできればいいと考えています。

まとめ

今回はSENQの開発秘話から、ベンチャー・スタートアップにいかに親和性のあるオフィスを作り上げていったのかについてをお聞きしました。

特に印象的だったのがオフィスを設備などのハード面と、サービスなどのソフト面の両軸で考えるというお話で、
まだまだハコとしてのオフィス提供が多い中で今後のオフィスづくりのスタンダードになると思いました。

また京橋、青山、霞が関でのノウハウがあるからこそ六本木での大盛況があったのだと改めて背景がわかりました。

シリーズ第2回目は昨年5月にオープンしたSENQ六本木を実際に使用している3社のインタビューを紹介。

スタートアップ・ベンチャー企業がなぜSENQ六本木を選ぶのか、入居者のリアルな視点から読み解いていきます!

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