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オフィスにおける防災対策や準備の基礎知識

普段はあまり意識することがないオフィスにおける防災。

万が一の事態を考えて備えを行うことが大切ではあるものの、いざ準備をしようと思っても何から揃えたらいいのかわからなくなってしまうことも。

もし準備に不足があった場合、システムの停止に伴うサービス提供不能、事業運営の停止、損害賠償、最悪のケースでは従業員の命を脅かしてしまう恐れすらあるのです。

そこで今回はオフィスでの防災に関して、基礎的な観点をおさえていきましょう。

1 防災とは何か

そもそも防災の意味とはなんでしょう?

防災とは「自然災害や事故など様々な災害から建物や従業員などを守る、または被害の拡大を防止する取り組み」のことを指します。

災害対策基本法の第2条の2では災害を以下のように定義しています。

「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、および災害の復旧を図ることをいう」

また、企業には事業所で働く従業員を守る安全配慮義務が労働契約法の第5条により課せられています。

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」

もし防災対策を一切行わないなど安全配慮義務を怠ったことで従業員に被害を与えてしまった場合、安全配慮義務違反として法的責任を問われることに。従業員に対して損害賠償を支払う必要が発生します。

もちろん、この安全配慮義務は災害時においても例外ではありません。普段から防災対策を意識しておくことが大切です。

2 3種類に分類される「災害」

一言で「災害」といっても自然災害や事故など多種多様。

災害を大きく分類すると「自然災害」「人為災害」「特殊災害(CBRNE災害)」の3種類。人為災害と特殊災害(CBRNE災害)はさらに細かく分類されています。

2-1 自然災害

地震、台風、豪雨、洪水、土砂崩れなどの自然による災害のこと。予測して防ぐことが非常に困難なため、これらに対してはしっかりと対策をしておきましょう。

2-2 人為災害

下記のように「人」による災害も存在します。

  1. 都市災害…火災、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動など
  2. 労働災害(産業災害)…メンタルヘルスなど労働が要因となって従業員が負傷したり、疫病にかかったりする災害
  3. 交通災害…交通事故や飛行機・船舶事故など
  4. 管理災害…ずさんな設計や計画、操作ミス、管理の怠慢など
  5. 環境災害…水質汚染など環境破壊が要因となって発生する災害

予測できるもの、できないものなどさまざまですね。特に1や5に関しては防災が効果を発揮すると言えるでしょう。

2-3 特殊災害(CBRNE災害)

  1. Chemical(化学)…有害物質や化学兵器によって起こる災害
  2. Biological(生物)…病原体や感染症のパンデミックなど
  3. Radiological(放射性物質)…原子力発電所の事故や放射能兵器によるテロ
  4. Nuclear(核)…核兵器を使ったテロ
  5. Explosive(爆発)…事故やテロによって起こる爆発

の頭文字をとったCBRNE災害。一企業で対策をとることが実質不可能な部分も。災害の種類の一つとして認識しておきましょう。

3 災害別のオフィスの防災対策

どのような災害が発生しても迅速な避難ができることが大切。まずは避難経路や避難場所を明確に定めておくことが絶対条件として求められます。

出入り口や非常階段など避難経路の近くに大きな物を置かないようにしましょう。廊下はスムーズに避難できるようにする必要があるため、ここにも物を置きすぎないようにしましょう。

建築基準法の第119条では、通路の片側に部屋がない場合は1.2m以上、両側に部屋がある場合は1.6m以上の廊下の幅を確保しなければならないと定められています。

では個別具体的な対策についても確認していきましょう。

3-1 地震の対策

地震が発生するとオフィスの建物自体に損害が発生することも。しかし大きな被害がなかったとしても、キャビネットなどの転倒による負傷など二次被害が発生する場合があります。

そのため、オフィス内で地震に備えて対策を行っておきましょう。

【キャビネットなどの家具】

キャビネットなどの家具はなるべく壁につけ、つっぱり棒やL字金具で固定します。またオフィスの中央など壁から離れた場所にキャビネットを設置する場合は、腰までの高さのキャビネットを選びましょう。

【パソコンやコピー機などのOA機器の固定】

パソコンやコピー機などの落下や転倒で負傷する可能性も考えられます。ジェルマットやバンドなどを使って固定しましょう。また、普段不要な際は引き出しにしまっておくなどの整理整頓も大切です。

【窓ガラスに飛散防止シートを貼る】

窓ガラスやガラス製のドアの場合、ガラス片が飛び散るおそれも。

ガラス片が飛び散ってしまうとその後の処理が非常に面倒です。そのため飛散防止シートを貼っておきましょう。

3-2 火災の対策

オフィスでの火災発生はあまり現実的でないと考えてしまいがちですが、発生電源タップの誤った使用などオフィスにも火災を引き起こす要因は多く存在します。

火災による被害を最小限に抑えるためにきちんと対策を行っておきましょう。

【コンセントのトラッキング現象に注意】

トラッキング現象とは、コンセントとプラグの間に埃が溜まって湿気を吸収することで漏電し発火する現象のこと。トラッキング現象による火災を防ぐために定期的な掃除を心がけたり、使わないコンセントをキャップで塞いだりするなどの対策を行いましょう。

【電源タップの使用容量を守る】

電源タップの使用可能電力は1,500ワットまでに設定されていることが多く、たこ足配線などで使用可能電力を上回ってしまうと火災が発生することも考えられます。使用する電子機器の消費電力を確かめた上で電源タップの使用可能電力を守りましょう。

【防災設備の定期点検を行う】

消火設備や防火・防排煙設備などの防災設備は、消防法や建築基準法などの法令によって所持者・管理者・占有者が管理することが義務づけられています。火災発生時に防災設備が万が一、機能しなかった場合、被害が大きくなるばかりか命を落としてしまう可能性が非常に高いので、怠らずにきちんと点検しておきましょう。

3-3 水害の対策

水害の心配が少ない地域もありますが、そうでない地域で経営を行なっている企業もたくさん。水害の可能性が考えられる場合は、しっかりと対策を行いましょう。

水害対策を行わないまま被害に遭ってしまうと、設備や機械などが故障することで事業継続が難しくなるばかりか、サービスに遅れが生じることで顧客離れが起こるおそれがあります。

【設備などを高階層に置く】

近くに河川や海があるなど特に水害による被害を受けやすい場合においては、事業で重要な設備やサーバーはなるべく高階層に置くようにしましょう。

低い場所においていた場合、水量によっては感電の恐れも0ではありません。

【浸水対策グッズの確保】

浸水対策グッズには、建物への浸水や土砂崩れを防ぐ水のう・土のう、止水板などがあります。また水害発生時は排水溝やトイレから下水が逆流するおそれがあるため、水のう・土のうで対策しておきましょう。

4 企業が準備すべき防災備蓄品などの例

万が一企業が災害にあってしまった場合を考えて防災備蓄品を用意しておくことも大切。ここからは用意すべき物資などに関して説明していきます。

4-1 1人当たりに必要な備蓄品のイメージ

1人あたりに必要な備蓄品の量としては、下記のようなイメージに。

  • 水…1日3リットル
  • 食料品…1日3食
  • 毛布…1枚〜3枚

これらを最低でも3日分は用意しておきましょう。そのほかにも医薬品や雑貨類なども用意しておく必要があります。

災害の種類によっては避難が長引いてしまうかもしれません。物理的、期限的に問題のない範囲内でしっかり準備をしておきましょう。

そして防災備蓄品をそろえる際は事前に必要量や保管場所を明確にすること、そして実際に使用する場面を想定するなど、準備をしっかり行うことが大切です。

4-2 最適な災害・防災備蓄品・防災グッズとは

東京都帰宅困難者対策ハンドブックによると水・食料・毛布の3種が帰宅困難者の施設内待機に必要であるとされています。では具体的にどのような防災備蓄品や防災グッズが最適なのかを記載していきます。

最も重要な水。

地震や豪雨などの自然災害が発生した場合、コンビニやスーパーマーケットで水のニーズが急激に向上する可能性があります。

さらに公的な支援物資が手元に届くまでには、多少なりとも時間がかかります。

マストの防災備蓄品として、水は必ずそろえておきましょう。 水は1人あたり1日3L、それを最低でも3日分は用意しておくことをおすすめします。

通常の飲料水の賞味期限が2年程度なのに対し、長期保存水は5~10年程度とされ持つとされているため、長期保存水は特に防災備蓄に適していると考えられるでしょう。

保管場所としては、日光などで傷まないように暗所に置いておくことをおすすめします。

食料品

食料品は1人あたり1日3食、3日分は用意しておきましょう。

備蓄用の食料品として代表的なものに、カンパン乾パンやアルファ米が挙げられます。これらは加熱や調理の工程をほとんど要さず、満腹感が得やすいためおすすめです。

しかしすべて成分が主に炭水化物のため栄養の偏りが懸念されます。

体調不良や病気のリスクを考えると、たんぱく質を摂取することができる魚介類、肉類の缶詰やビタミン剤、食物繊維を摂取することができる野菜ジュースなども備蓄しておくと安心でしょう。

これらにおいても劣化を防ぐために、直射日光のあたらない場所で保管することをおすすめします。

毛布やブランケットなどの防寒具

季節を問わず、災害時の生存には暖を取ることが重要とされています。そのため、全身を包める毛布やブランケットなどを準備することが大切。特に冬場などに災害にあってしまうと、非常に厳しい寒気と戦わなくてはなりません。

これらは無作為に選ぶと保管スペースを圧迫してしまうため、フリースなどの薄くて暖かい素材のものを準備しておきましょう。さらに真空パック包装の防災専用品などがあればなお良しです。

医薬品

災害時は、医療機関を受診することが困難になる可能性も。医薬品も必ず備えておきましょう。

さまざまな種類がある医薬品の中でも、特に備えておきたいのは「胃腸薬」と「解熱剤」。それぞれ、災害時ならではの不衛生な環境や、疲労による体調不良に効果を発揮してくれるでしょう。

また、持病のある従業員がいる場合は、普段から従業員本人に処方薬を常備するよう呼びかけておくことも大切に。

非常用トイレやトイレットペーパー、雑貨類などの物資

オフィスの衛生環境を維持するためには非常用トイレやトイレットペーパー、マスク、歯ブラシ、ひざ掛け、生理用ナプキンなど、最低限の衛生用品を備えておくことも求められます。

併せてラジオやヘッドライト・簡易照明、非常用発電機なども、緊急時に使用できる状態で保管しておきましょう。

5 災害・防災備蓄品の在庫管理のためのローリングストック法

防災備蓄品のうち、水・食料品には消費期限や賞味期限が、薬には使用期限があります。そのため定期的に確認して新調するか否かを判断しましょう。

そのために有用なのがローリングストック法。これは災害発生の有無を問わず、消費、賞味期限や使用期限が古いものから定期的に消費し、不足分を新たに買い足し備蓄する方法です。

防災備蓄品を期限前に使い切ることができるほか、いつ災害が発生しても期限内の備蓄品を消費・使用できるのが特徴です。

捨てることに抵抗がある場合、フードバンクを利用するのもおすすめ。これはアメリカで始まった「食料銀行」を意味する社会福祉活動です。

まだ食べることができるにもかかわらず、廃棄しなければならない食品を、食べ物に困っている人や施設に届ける活動を指します。この活動への参加が、防災備蓄品を廃棄する手間の削減や、社会貢献にも繋がります。

まとめ

普段から防災の意識を持つことは簡単ではありません。しかし万が一の状況になった時に何も準備していないとなると非常に厳しい環境で過ごさなくてはならないことも事実。

従業員や会社を守ため、普段から、ないしは定期的に全社で防災の意識を高めることも大切です。

防災のルール、必要物資を明確にし、万が一にも対応できる企業体制を目指したいですね。

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