インタビュー

「FinGATE TERRACE」特集記事:第一弾 開発者に聞く、「FinGATE TERRACE」オープンまでの道のり

日本橋兜町・茅場町地区で、平和不動産株式会社が展開しているオフィスシリーズ「FinGATE(フィンゲート)」。

これまでに開設されているFintech企業を主な対象としたオフィス「FinGATE KAYABA」、国内外資産運用会社を主な対象としたオフィス「FinGATE KABUTO」、起業して間もないベンチャー企業を対象としたオフィス「FinGATE BASE」に続き、2020年4月に新たなオフィス「FinGATE TERRACE」がオープンしました。

今回はオープンに先立ち、平和不動産さんに「FinGATE TERRACE」の開発秘話をお伺いしました!

FinGATEとは?

➤“FinGATE”とは、これからの金融を担う独立系資産運用会社やFintech等の金融系ベンチャー企業の起業・発展を支援するインキュベーション活動の総称です。

現在、上記エリアでは、東京都が推進する「国際金融都市・東京」構想を契機に、東京証券取引所の近接地域で新金融拠点形成に向けた再開発が進められています。

FinGATE HP

平和不動産株式会社 公式HP

1.「FinGATE」シリーズ立ち上げのきっかけとは

Q.FinGATEシリーズを設立した背景を教えてください。

当社は現在、日本橋兜町・茅場町エリアの再活性化プロジェクトを推進しております。コンセプトは「人が集い、投資と成長が生まれる街づくり」です。

このエリアは、日本資本主義の父と言われた渋沢栄一翁が、日本初の銀行である第一国立銀行の拠点を置き、証券取引所をつくるなど、日本の高度経済成長を金融面から支えてきた歴史を持っています。

しかし、1999年に証券取引の電子化が進み、長年続いた人手による東京証券取引所株券売買の立会場が閉場されたことで、証券会社の移転が進むなど街の姿が大きく変わりました。そして証券会社のサービスもインターネット化が進んだため、必ずしも兜町に拠点を持つ必要が無くなりました。その結果、兜町で働く人の数はこの20年で大幅に減り、街の活気が減ってしまったのです。

このような状況下において街に再び活気を取り戻すべく、「投資と成長」をキーワードに、未来に向けて、特に伸びしろが期待できる分野として資産運用ビジネスに注目し、そこに貢献しようと考えました。

日本の資産運用ビジネスがグローバルで競争力を持つためには、イノベーションが必要不可欠です。そこで本エリアを、金融系ベンチャー企業の集積地にすることで、こうした企業の成長・発展に貢献するとともに、イノベーションの加速を促したいと考え、独立系資産運用会社やFintech等の金融系ベンチャー企業をターゲットとした成長支援事業FinGATEを立ち上げました。

平和不動産が手掛ける兜町・茅場町再開発プロジェクトMAP

Q.なぜFinGATEという名称になったのでしょうか。

金融や資産運用を始める人たちの入り口になって欲しいという思いから、ファイナンスの入口という意味で“FinGATE”と名づけています。

ここに来れば金融のことが全部わかる、そんな場にしたいです。

 Q.FinGATEシリーズのコンセプトとして大事にしているものはありますか。

日本橋兜町・茅場町の街づくりコンセプトは「人が集い、投資と成長が生まれる街づくり」です。

その具体的な施策の一つである「FinGATE」においては、成長企業に対し、オフィス等のインフラに加え、「ビジネスマッチング支援」「ミドルバックサービス支援」といった「ソフト」のサービスを提供することによって、事業立上げ・ビジネス拡大をサポートしております。

ビジネスマッチング支援とは、「FinGATE」に入居する企業や団体に、金融事業者や投資家等のネットワークへアクセスする機会を提供するものです。

「FinGATE KAYABA」をはじめとしたイベント・セミナー会場においては、資産運用やFintech関連のイベントなどを年 100 回以上開催しており、立上げ当初の企業に有用な最新情報の取得やネットワーキングの機会等を提供しております。また当社担当者がコミュニティマネージャーとなることで、日々のリレーションを通じて得られた情報・人脈を元に、専門家紹介や知見共有機会を入居企業へ提供しております。

次にミドルバックサービス支援とは、「FinGATE」入居企業に対し、事業立上げ・ビジネス拡大に有用なミドルバックサービスの導入支援を行うものです。

日本国内で資産運用業等のビジネスを立ち上げるのはハードルがあります。そこで当社がミドルバックサービスを提供する企業等とパートナーシップを組み、一部割引等の導入支援を行うことで、金融商品取引業としての当局登録作業、ミドルバックオフィス業務のコスト負担や専門人材確保等についてサポートをしてまいります。

以上の取組を通じて、東京のマーケットにおける金融事業者の事業立上げ・ビジネス拡大をサポートすることで、「国際金融都市・東京」構想の実現に向けた一翼を担っていきたいと考えております。

左から平和不動産  近藤さん、荒さん

Q.オーナー側からコミュニティを形成する難しさもあると思いますが、注意している点などはありますか?

我々もテナントさんと同じ領域に入っていき、住人になることで、実際に現場にいる人々の声を聞きながら情報を収集し、コミュニティをつくっていきました。

とにかく大事にしたのはテナントリレーションです。シナジーのある会社様に入っていただくと共に、良い関係を構築できる橋渡しになることを意識しています。箱だけ作るただのデベロッパーではなく、テナント様との対話を大切にして、関係性を作っていくよう心がけています。

2.シリーズ第4弾「FinGATE TERRACE」設立

 

Q.今回FinGATEシリーズの4施設目として、「FinGATE TERRACE」を設立した背景を教えて下さい。

2017年の「FinGATE KAYABA」整備以降、「KABUTO」「BASE」と計3施設を整備し、約30社の金融系ベンチャー企業が本エリアに集う中で、FinGATEに入居したいという要望や、成長に伴う増床要望が増加しておりました。そのような要望を踏まえ、新たに各成長ステージに合わせたオフィスとして、「FinGATE TERRACE」を整備しました。

スタートアップファーストを具体的に実現していくために、若手でSONYの本社デザインを手掛けるなど注目を受けている設計チームのSAKUMAESHIMA、スタートアップ移転に精通している不動産仲介の株式会社IPPO、多くのスタートアップオフィスの内装経験のあるトレイルヘッズ株式会社と協力して手がけました。


左から平和不動産 村井さん、桐生さん

Q.今回FinGATE TERRACEの立ち上げにあたり強く意識したポイントを教えてください。

FinGATE TERRACEはシリーズ初のビル1棟でのリノベーションプロジェクトです。

入居企業の成長ステージのニーズに合わせて対応できるよう、以下のようなフロア分けをしています。

2階〜4階:資産運用業関連の許認可取得に対応する個別セキュリティを付帯したスモールオフィスを提供しています。

5階〜8階:スモールオフィスが手狭になった金融系ベンチャー企業等向けオフィスとして、フロア毎に面積や仕様を少しずつ変えながらゾーニングしています。その中でも5階~7階は当社初の試みとして、会議室等の一部内装を予め施したセットアップ区画を用意いたしました。

このように複数のパターンを設けることで、他のFinGATEシリーズ入居者の事業成長に合わせた増床先にもなっています。

また、今回のリノベーションにおいては、エリアの賑わい創出を意識し、1階にオープンテラスを整備しています。エリアに集積し始めている飲食店等とも連携をとりながら、FinGATE入居テナント様だけでなく、街全体に開かれたスペースとしていきたいと考えております。

Q.スタートアップが入居する上で意識した点はありますか?

先述したとおり、入居企業の成長ステージに合わせて、様々なニーズに対応できるレイアウトを用意した点です。

スタートアップ企業では、入退去時の手間・コストの低減、セキュリティの確保、低コストで最大限の会社のカラーを出すことなど多くのニーズがあります。FinGATE TERRACEではそれらに応えるべく、各パートナー企業と連携してきました。

Q.他社との連携によって生まれたアイデアはありますか?

例えば会議室の机の設置有無についてですね。

IPPOさんのアドバイスで30坪区画に関しては会議室に机と椅子をあらかじめ設置しています。規模的にシェアオフィスやマンションからのご移転を想定し、会議室用の机はもっていない方が多いと想定しご用意しました。

一方で60坪の大きいフロアでは、すでにオフィス物件を借りていて什器を持ち合わせている会社も多いので、テナントが自由に選べるようにあえて設置をしませんでした。

このように各部屋の内装も一律に全フロア同じではなく、成長ステージに合わせて変えています。

Q.共用スペースでも内装にこだわっている点があれば教えて下さい。

3階の共用ラウンジに関しては、SAKUMAESHIMAさんからアドバイスを頂き、各ゾーンの役割を考えて設計しています。

入口ゾーンは待合スペースとして来客に適した空間。その他のゾーンについても、窓側のリラックススペース、美味しいコーヒーが飲めるドリンクスペース、セキュリティに配慮しつつオープンに会話ができるスペースといった形で、利用しやすい空間作りを意識しました。

また植栽や木目の什器を使って、圧迫が出ないように緩やかに空間を仕切る配慮もしています。

 

Q.これまでFinGATEシリーズ3施設の運営を通じて得た経験から今回活かせた点などはありましたか。

はい、多くあります。

例えば共用ラウンジの整備については、既存FinGATEオフィスにおけるラウンジの利用頻度・使われ方、テナントから得られた声を元にアイデアを出し合い、今のラウンジができています。その他、2〜4階のスモールオフィスと会議室の部屋数のバランス、ビル側で予め準備する内装設備等、多くのことについて過去の経験を活かせております。

誘致ターゲットを絞っているFinGATEシリーズだからこそ活かせていると感じますが、引き続き入居テナントとコミュニケーションをとって改善していきたいと考えております。

3.「FinGATE」シリーズそして兜町・茅場町再開発の今後

Q.FinGATEシリーズの今後の構想があれば教えて下さい。

オフィス整備が続きご入居社数が増えると、よりFinGATEの認知が高まっていきます。そこは当然目指すべきところではありますが、それ以上に成長支援プラットフォームとしての機能強化をより大事にしていきたいと考えています。起業や事業発展を支えていくことが成長支援事業であるFinGATEの目的です。

Q.具体的に考えているサービスがあれば教えていただけますか。

新たにできる「KABUTO ONE」(2021年夏頃開業)には500人規模のホールを作り、これまで兜町・茅場町でできなかった大規模なイベントができるインフラが整います。ここでは大規模なイベントを誘致、主催していきたいと考えています。

Q.街づくりの点で今されていることや今後の展望を教えてください。

再開発コンセプトの中にもある「人が集う」には、ビルだけでなく街として人が集う場所にすることも込められています。

FinGATE入居者含め、街を利用している人たちに良い影響を生む取り組みをしていきたいと考えています。

2020年2月には「K5」というブティックホテルがOPENしましたが、それに続く形で、近々兜町で複数の飲食店舗がオープン予定です。いずれも、兜町でしか体験できないようなオリジナリティ溢れる魅力的な店舗になる予定です。オープン後、街の皆様に喜んでいただけるのが楽しみです。

他にも「FinGATE TERRACE」を含め、エリア全体の緑を増やすことは勿論ながら、植種や色、デザインを統一することで、エリアとしての一体感を作っていく試みも推進していく予定です。

今後は、レジデンス、クリニック、フィットネスジム等、様々な需要が出てくると考えています。街の人たちの意見に耳を傾けながら、兜町・茅場町の魅力が向上するような取組みを続けていきたいと考えています。

Q.最後に街づくりの中で大事にしていることは何でしょうか。

兜町・茅場町のファンを増やすことが再開発において大事なテーマだと考えています。

地域関係者にとって、この街を気に入っていただけるようにすることが再開発をするものとしての使命だと思います。「兜町が盛り上がっているから」、「この街にいれば良い出会いがあるから」そういった魅力を作りあげていくことで、この街で働きたいと思ってもらえるのではないでしょうか。

編集後記

今回、「FinGATE TERRACE」オープンにあたり誕生の背景からFinGATEの構想までのお話を伺いました。

そしてFinGATEシリーズに一貫している企業の成長に寄り添うサービスの拡充やビル作りが、金融都市としての魅力に繋がっていることを知りました。また、街づくりの側面でも開発事業を進める立場としてコンセプトを大切にされているのが印象的でした

兜町・茅場町の歴史的文脈のもと、新たに人々で賑わう居心地の良い“街”としての今後の発展がとても楽しみです。

平和不動産特集記事第二弾では、平和不動産さん、IPPO、SAKUMAESHIMAさん、トレイルヘッズさんの4社がどのようにバトンをつないで「FinGATE TERRACE」を実現させたのかに迫ります!

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