ワクチンの開発など日々刻々と状況が変わり、私たちの生活を変えたコロナウイルス。
感染症予防が求められる中、オフィスや働き方も大きく変化を求められています。
既存のオフィスでの感染予防対策、オフィスを拡大することでオフィス活用法を再定義、リモートワークによるコスト削減のための縮小移転など様々なルートを検討することが大切に。
今回はコロナ渦におけるオフィスのあり方の見直しや、仕組みを構築した企業の例を複数ご紹介していきます。
1 コロナ以前のオフィス
コロナ直前までは企業のブランディングのためのオフィス作りや、生産性の高いオフィスを目指す企業が大半だったと言えます。
物理的な環境の整備に注力しながらも職場風土の活性化や仕事の可視化、マネジメントスタイルの見直しなどによってビジネスを伸長させていきました。この文脈に沿ったサービスも数多く存在しています。
「作業環境の整備」と「物理的な行動管理」の両軸がこれまでのオフィス戦略のキモでした。
2 コロナ感染拡大中のオフィスのあり方
新型コロナウイルスの感染が拡大した後、これまでの働き方は大きく変化しました。
コロナ感染拡大から1年以上経過した時点でも緊急事態宣言が発令され、政府や自治体から出社を控えるよう要請があり、そのため企業はオフィスに出社せずとも業務遂行が可能な環境を用意せざるを得ませんでした。
その一方で、在宅などでリモートワークをする社員は急激に増加。もはや新しいマーケットと言っていいほど当該領域のサービスが急激に加速しました。
WEB会議、グループ通話が標準的なコミュニケーション方法として浸透しています。
これからのオフィスでは3密を避けるオフィスづくりが優先的に求められる方も多くなりました。
既存オフィスでの感染予防対策、オフィス拡大する中でもあり方を再定義、リモートワークを利用したコスト削減のための縮小移転など様々な選択肢が存在しています。
3 コロナの影響でオフィス環境を見直した企業例
コロナ渦においてオフィス活用の見直しを行わなかった企業はないのではないのでしょうか?
ここからwithコロナとオフィスの関係性を捉え、就業環境に反映した企業の一例をご紹介していきます。
3-1 ソウルドアウト株式会社
ソウルドアウトは、日本全国の中小・ベンチャー企業が抱えるさまざまなマーケティング上の課題解決を目指すデジタルマーケティング支援企業。
「密を回避する」という観点から固定席ではなく、最適な作業場所を自分で選ぶことができるワークスタイル「ABW(Activity Based Working)」型に。
毎回同じ景色ではない作業環境により、メンバーとの偶発的なコミュニケーションが生まれたそう。
一人当たりの占有面積を広く取り、パーテーションなどによる仕切りを設置。個室ブースの設置なども積極的行いました。

3-2 コクヨマーケティング株式会社
オフィス・事務所の新設、移転やリニューアルにおいて、レイアウト作成やオフィスデザイン等のサービスでオフィスづくりをサポートするコクヨマーケティング。
オフィスに関するサービスを展開する企業としてオフィスのレイアウト変更も迅速に取り組みました。
距離や密度についてのルールである「オフィスの感染拡大防止の5つの基本方針」を定め、この方針に従ってレイアウトを変更。
- カーペットにソーシャルディスタンス確保のためのサインを設置
- オフィス内の通行ルールを設定、カーペットのデザインで進行方向を明確化
- 会議室など個室のドアは常に開放
などの対策も行っています。
テレワークを推進し、オフィスへの出社率を50%に、会議はオンラインで行うなどの施策も徹底しています。
3-3 Google
IT企業の中でもいち早く在宅勤務に踏み切ったGoogle。
Googleではオフィスでの業務を停止し、オフィスの再開を2021年9月まで先送りにすると発表しています。
正社員と契約社員を合わせて20万人近い従業員が在宅勤務を行っており、オフィスへの出勤を防ぐことで感染拡大に努めています。
新型コロナウイルスの終息後にオフィス勤務を再開したときの週単位の勤務形態について、週に最低3日はオフィス勤務とし、残りの日はリモートワークの許可という新たなモデルも検討しているようです。
Google社はオフィス文化を大事にしており、オフィスへの投資や新しいオフィス作りをし続けているので、今後も動向に注目です。
3-4 株式会社Legaseed
コロナ禍であえて本社移転を決行し230坪の新オフィスになんと内装2億円を投資した企業がコンサルティングファーム。
オフィスを「収益をもたらす場所」と定義し、組織の生産性が向上し、顧客が集まり営業が促進される空間を設計。従来の「人が集まる拠点」としてのオフィスではなく、人と組織の生産性を最大化するために必要な要素を盛り込んだオフィスを構想し「プロフィットオフィス」と名付けました。
社内からは対面でのコミュニケーションも実施したいという声も大切に、安全に仕事に向き合える環境を作り上げています。

3-5 LAPRAS株式会社
人工知能による人材マッチングサービスを手がけるベンチャー企業。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って働き方改革を進め、政府による「緊急事態宣言」の直前の3月末には、完全リモートワーク化。
「黒字化を目指すベンチャーにとって、小さな無駄が命取りになる。当社に今のオフィスは必要ない」と判断、縮小移転に踏み切りました。
リモートワークが浸透したことでオフィス経費による経営圧迫を回避。社員同士のコミュニケーションを図るために週数回程度集まったりするための小規模なスペースとしてオフィスの活用を行っています。

3-6 味の素
味の素は、いつでもどこでも勤務できる新しい働き方である「どこでもオフィス」と呼ばれる制度を導入しています。
この制度は実は新型コロナウイルスの流行を受けて作られたものではなかったようです。
全従業員の8割以上が活用している人気の制度がコロナ渦においてスポットライトを浴びることに。
さらに社員が自宅近くで働きやすくするためのサテライトオフィスを拡充することで、働きやすくワークライフバランスが取れた環境作りに役立てています。

3-7 GMOインターネットグループ
コロナによる影響が社会に出始めてからの反応が非常に早かったGMOグループ。
当初から、感染予防対策の徹底やリモート制度の積極活用、オフィスのレイアウト変更を行った企業でもあります。
GMOインターネットグループも、徹底した感染対策を行った企業の1つです。
「行動ガイドライン」と呼ばれる出社時と在社時における行動ルールの作成や、入室前の手洗いや手指の消毒・検温などの衛生対策を徹底しています。
また、出社時のデスクは1.8mごとに間を空けて利用する、正面に対面する座席の配置を避ける、ソーシャルディスタンスを保つテープやステッカーを貼り付けるなど、感染予防対策と合わせて、オフィスのレイアウト変更にも力を入れています。
衛生対策とレイアウト変更を合わせて行うことで、更なる感染症予防が期待できます。

まとめ
既存オフィスでコロナ対策を導入する企業、あえてオフィスの役割を再定義し拡大移転する企業、オフィスの必要性を考え縮小移転する企業など様々。
大きな決断をする際は自社のビジネスの規模やキャッシュの状況はもちろんですが、社員の働き方やクライアントの状況など様々な変数を考えてからすることが必要です。
まずは既存のオフィスでも可能なコロナ対策からスタートするのもおすすめですよ。