お役立ち

フリーアドレスのメリットデメリット

現代の日本では、政府主導で行われている「働き方改革」が進められています。

これにより企業では色々な働き方が登場していますが、その中でも注目されている働き方の一つの「フリーアドレス」というスタイル。近年では様々な会社が年々導入するケースが増加しています。

しかしながらこのスタイルは、全ての企業が簡単に導入できるというわけではありません。

とりあえずやってみたはいいけれど失敗したなんてことになれば、コストと時間が無駄になってしまいますよね。

そこで今回はフリーアドレスを導入するためのポイントや、メリットやデメリット、どのような業務内容に適しているのかなどを解説していきます。

1 フリーアドレスについて

1-1 フリーアドレスとは

フリーアドレスは、オフィスに社員の固定席を作らずに自由なスペースで仕事を行うスタイル。1990年代後半より、外資系企業やIT企業で導入され始めました。

固定席を採用している一般的なオフィスであれば、決められた位置にデスクを配置し一人一人に決められたスペースが与えられます。

その社員に与えられたスペースという概念を見直すことで、コスト削減やコミュニケーションの活性化を目指す手段として注目されています。

フリーアドレスと聞くと海外をイメージしがちですが、実は日本で生まれた働き方なんです。これは大手総合建設会社で知られている清水建設の技術研究所にて、世界で初めて実現されました。

導入のきっかけは、日本のオフィスでは1人あたりの面積が欧米に比べて狭いことから、せめて使用できる1人あたりのスペースを、欧米に合わせようと考えられたことから。

当初は空いているスペースを自由に使用することで、その際に使える机上面積を増やそうという苦肉の策だったようです。

1-2 IT技術の発達によるフリーアドレスの導入率向上

1990年代後半からフリーアドレスを導入する企業が増えました。しかし当時のIT技術はそこまで発展しておらず、業務効率やセキュリティ面に課題を抱えていました。

その後、数々の企業がフリーアドレスの導入に成功していきます。

フリーアドレス導入を成功させた要因としては、コスト削減のみに注目するのではなく、コミュニケーションの促進や社員のモチベーションアップといった業務改善手段という意味合いで定義したこと。

またノートパソコンの普及やPHSによる安価な通信が可能になるなど、技術的にフリーアドレスが行いやすい状況が整ったことも挙げられます。

更に近年ではIT技術の発達により、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスが普及しています。これによりビジネス向けのチャットツールや勤怠管理システム、業務管理ツールなどが充実しました。

このようなテクノロジーが進化したことで、遠隔の業務コミュニケーションや人事労務管理がフレキシブルに行えるように変化しました。

このように以前の課題などがシステムの進化により解決されたことで、フリーアドレスの導入が多くの企業で広まりつつあります。

2018年に「オフィス利用に関するテナント意識調査2018」を、事業用不動産サービスを展開しているCBREが発表しました。

これによるとフリーアドレスの導入率は2015年と比較して約1.6倍も増加しているとのこと。

業種別では「IT」が70%と最も高い導入率となりました。地域別では東京23区が47%の数値となっており、地方都市では31%の導入率という結果に。

今後さらにフリーアドレスを導入する企業は増えていくのではないでしょうか。

2 フリーアドレスを導入することでのメリット

フリーアドレスは働き方改革の一環として採用されることが多く、様々なメリットがあります。

ここではフリーアドレスを導入することで、考えられる3つのメリットを説明していきます。

2-1 社内コミュニケーションの活性化

フリーアドレスを取り入れることで、部署や部門または立場を超えた交流が可能となります。

決まったメンバーではなく、今まで関わることが少なかったメンバーとコミュニケーションをとることができます。

組織内の壁が取り払われることで、組織横断的なコミュニケーションが活性化し、社員の働く意欲や仕事へのモチベーションが上がる効果も期待できるでしょう。

これにより、想像していなかった新たなコラボレーション事業のアイデアが生まれたりなんてことも。

このように社内の壁がなくなることで、様々な社員とのコミュニケーションがとれアイデアや創造性を育むことができます。

2-2 オフィスのクリーン化とセキュリティの向上

フリーアドレスを導入することでオフィスの環境美化とセキュリティの向上も期待できます。

固定席の場合であれば自分のテリトリーという意識になり、不要な物や書類などの私物を置いてしまいがち。これではどこに何があるのかが区別がつかず、資料が見つからないなど業務上にも支障が出てしまいます。

一方フリーアドレスであれば、個人のデスクはなく専用のキャビネットやロッカーから仕事の必要なものだけを持って席を移動するケースがほとんど。

物が少ないことで掃除や整理整頓もしやすく、見栄えの良いオフィスにも繋がります。

このことからデスクに置く物が減るので、固定席で考えられる重要資料の紛失や、情報漏洩対策にも効果が期待できます。

2-3 スペースコストの削減

限られたスペースを有効活用でき、コスト削減に繋がるのもフリーアドレスのメリットの一つ。

固定席の場合、各メンバーに専用の座席を与える必要があります。しかし営業で外回りが多い場合に、在席率が低い従業員の机はデッドスペースになってしまいますよね。

フリーアドレスを導入することで、このような無駄なスペースは生まれません。

また省いたスペースによって生まれた空間は、社員のコミュニケーションスペースや休憩スペースなどに利用することが可能です。

このようにフリーアドレスを取り入れることで不要なスペースを削除し、有効活用することでメンバー同士の新たな交流も発生しやすくなります。

また無駄なスペースを削減することで、オフィスを最小化でき家賃などのコスト削減にも繋がります。

3 フリーアドレスを導入することでのデメリット

フリーアドレスには様々なメリットがありますが、一方でデメリットもあることを忘れてはいけません。

ここではフリーアドレスを導入することで考えられる、3つのデメリットについて紹介していきます。

3-1 どこに誰がいるのか分からない

フリーアドレスを導入することで自分のスペースを自由に選べるメリットがある反面、どこに誰がいるのか分からない事態が考えられます。

固定席であれば、そのような問題はなくどこに行けば誰に会えるのか分かりますし、不在の場合でもメモや資料を残すこともできますよね。

最近では、メールやチャットでコミュニケーションをとることが多くなってはきていますが、直接会って話がしたい場合など、相手がどこにいるのか分からない状況はストレスを感じてしまうかもしれません。

このことから、ビジネス向けチャットなどのコミュニケーションアプリの活用や、誰がどこにいるかが分かるように入退室管理の仕組みを作る対策が必要です。

3-2 集中の妨げになるケースも

フリーアドレスにすることにより、社員の集中が妨げられるなんてことも考えられます。

仕事の状況によっては、自分の業務とは関係のないメンバーが近くに座ることも。会話や電話の声が気になったり、自分の空間がないことで周囲との距離感が近すぎると感じることもあるでしょう。

それにより集中しづらく作業が進まず、ストレスになったり生産性の低下の原因になることもあります。

このことから、オフィスのレイアウトを工夫したり、電話可能なエリアを限定するなどの対策が必要です。

3-3 帰属意識や愛着心の低下

フリーアドレスでは毎日好きな席が選べるため、所属している部署に対する意識は薄れてしまいがちです。

部署内のコミュニケーションが希薄になることで、集団意識が薄れ組織への帰属意識や愛着心が低下する可能性があります。

また上司と部下との連絡が取りづらくコミュニケーションがしづらくなることも。

このことから、週に一度は部署ごとに同じスペースで仕事をするなどの対策が必要です。

4 フリーアドレスを導入する際に必要なもの

4-1 ノートパソコン

フリーアドレスを導入する場合に必要な物は様々ですが、その中でも必須とされるのはノートパソコン。自由に席を移動できるのにデスクトップパソコンを持ち歩くわけにはいきませんよね。

個人で作業中のデータを全てノートパソコンに保存できるからこそフリーアドレスは実現可能なんです。外出が多い営業職の場合には、持ち運びしやすいモバイルタイプのノートパソコンがあるといいでしょう。

社内のどこからでもノートパソコンを使用できるよう、有線や無線でのLAN環境やインターネット環境を充実させておくことが大切です。

4-2 デスクや専用ロッカー

またデスクや専用ロッカーも必要です。業務内容にもよりますが、フリーアドレスを採用している企業では円形テーブルや長机を使用していることがよくあります。

これは複数人が着席でき、コミュニケーションが円滑になりますし、人数の増減にも対応可能なことがメリット。

またフリーアドレスでは必要な資料をロッカーやキャビネットから取り出し、デスクまで移動します。これはパソコンに保存できないような資料やデータを保存しておく必要があるからです。

その他に自由な場所で仕事をできる環境では、不審者の入室に注意することが重要です。IDカードによる入退室可能なオートロックのドアなど、入退室管理システムの導入もポイントの一つ。

このように、フリーアドレスを導入するためには様々な設備や備品が必要です。

5 業務内容によっては向き・不向きがある

フリーアドレスを導入する際に、業務内容によっては向き・不向きがあることを忘れては行けません。外回りが多い営業職や他部署との交流が必要な企画部門ではフリーアドレスが取り入れやすいです。

一方で経理などの管理部門では落ち着いた環境で仕事をする必要があり、個人情報や重要書類を扱うことも多いため、フリーアドレスには不向きと言えるでしょう。

またチーム単位での開発業務に携わるエンジニアなどの場合、プロジェクトや必要リソースによってはフリーアドレスに適さないことも。

フリーアドレスを全社で行っている企業も多いですが、部署や業務内容の向き・不向きを考えた上で、部分的に固定席を残す工夫も必要です。

まとめ

今回は様々な企業が年々導入しているケースが増えている、「フリーアドレス」について解説してきました。

スペースコストの削除や社内コミュニケーションの活性化が期待できる一方、どこに誰がいるのか分かりづらくなったり、集中の妨げになるなんてことも。

フリーアドレス導入を考えている場合は、自社のビジネスに適しているのか、実現可能なのかを意識した上で検討することが大切です。

タイトルとURLをコピーしました