ベンチャー、スタートアップ界隈にいるとしばしばに名前を耳にする「Yコンビネーター」。
スタートアップをメインに投資を行うシードアクセラレーターであるこの企業は、今までにも名だたる企業を支援してきています。
今回はそんなYコンビネーターに関してご紹介していきます。
1Y Combinatorって何?
「Y Combinator」はカリフォルニア州のマウンテンビュー、すなわちシリコンバレーに拠点をおくベンチャーキャピタルのこと。
世界で最初にASPサービスを作ったことで知られるポールグレアムをはじめとし、ロバート・T・モリス、トリヴァー・ブラックウェル、ジェシカ・リヴィングストンにより設立されました。
スタートアップ企業に対しまずは2万ドル前後の小額を投資し、3ヶ月のスクールを通じて集中的に指導。その後に他のベンチャーキャピラタルからも投資を受けられる状態まで育成することが特徴です。
AirbnbやDropbox、Bumpやherokuなどのサービスを育てたことでも知られており、Forbesが選出した世界を変えるテック系インキュベータ10選にも選ばれています。
2 Y Combinatorの選考基準は?
Y Combinatorは年に2回選考を行っています。
応募方法はYCombinatorのサイトに記載されています。
どの国でも基本的に支援を行ってくれていますが、米国以外の会社で法人化をすでにしている場合は、米国かケイマン諸島に親会社を設立しなくてはいけないようです。
3 Y Combinatorでの資金調達サイクル
1月から3月までと、6月から8月までの計2回、資金調達サイクルのプログラムを実行しています。
Y Combinatorが資金を提供する各スタートアップの創設者には、そのサイクルの期間中はベイエリアに移動してくるよう依頼しているんだとか。
その間にY CombinatorとクライアントはMTGなどを重ね、よりビジネスを強固なものにしていきます。
その3ヶ月のプログラムの最後に行われるのが「Demo Day」です。これは投資家やエンジェルなどにアピールする最大のチャンスです。
最初は投資家が15人ほどだったようですが、今では約1000人もの投資家が参加するイベントにまで成長しています。
4 各サイクル間に週1回著名人を招く「ディナー」
各サイクルの間に1回「ディナー」を行い、スタートアップの世界の著名な人に講演を依頼しています。Y Combinatorの公式サイトではザッカーバーグがこのディナーに参加している写真が掲載されています。
この「ディナー」はいわゆる「晩ご飯を食べるディナー」ではなく、半日にも及んで行われるイベント。いわゆる一般的なディナーの認識とは少し違うようです。
招かれるスピーカーは主に成功したスタートアップの創設者。夕食の前に創設者とビジネスモデルや裏話などのコミュニケーションを行うようです。
このようにスタートアップ、ベンチャー界隈の成功者から直々にアドバイスや裏話を聞けるのもY Combinatorの魅力の1つと言えるでしょう。
5 Y Combinatorがサポートした企業例
5-1 Dropbox
もはや説明不要のオンラインストレージサービス。アラシュ・フェルドウシ、ドリュー・ヒューストンにより2007年に設立されました。
Amazon S3をバックエンドに使用しているサービスですが、Amazon S3の登場により技術があればDropboxのようなツールを開発することが可能になっており、しかも2007年時点でオンラインストレージサービスはやや後発だったようです。
しかしコンシューマ向けオンラインストレージの分野で本当に良いプロダクトを作るのは本質的には難しく、最終的には「プロダクトの良さ」と「それを実行できる人やチーム」が決め手になったとのこと。
まさに「アイデアよりも人に投資するべき」という事例となったビジネスでした。

5-2 Airbnb
ウェブを通して部屋を貸したい人と、宿泊したい旅行者を結びつけるサービスairbnb。ネイサン・ブレチャーチク、ブライアン・チェスキー、ジョー・ゲビアによって誕生しました。
今ではY Combinator出身の代表的なサービスにまで成長しています。

5-3 Stripe
弟のジョンと兄のパトリックのコリソン兄弟によって説リスされた決済システムのStripe。
なんとコリソン兄弟は揃ってビリオネア。ジョン・コリソンは、世界最年少のセルフメイド・ビリオネア(自力で稼いでビリオネアになった人物のこと)に。
過去にPayPalやYahoo、Googleに投資してきたベテランの投資家マイケル・モリッツもこれまでの投資先のなかでも「最も頭の切れる人たち」だと評しています。なんとわずか7年間で1兆円の企業に成長しています。
5-4 Cruise
カイル・フォークト、ダニエル・カンによって創業された全電気式自動運転車のテクノロジーを構築する企業。
2016年にGMが買収しています。2019年にはGMとソフトバンクビジョンファンド、Tロウ・プライス・アソシエーツ、ホンダより11億5000万ドル億ドル調達し、評価額190億ドルにまで達しています。
5-5 Instacart
ブランドン・レオナルド、アプオルワ・メフタ、マックス・マレンによって創業されたオンライン食料品サービス。
Instacartの同日配達と集荷サービスは、新鮮な食料品や日常の必需品を、米国とカナダの忙しい人々や家族に短時間で届けてくれるというもの。
米国の85%を超える世帯とカナダの70%を超える世帯が利用することができるほどシェアを拡大しています。
まとめ
名だたるサービスをサポートし、世に輩出してきたYコンビネーター。
スタートアップ、ベンチャー界隈の繋がりやその後のビジネスにまで目を向ける姿勢や、人やチームにもスポットをあたるスタイルだからこそ的確に優れたアイデアを形にする組織を見抜けたのかもしれません。
今後もYコンビネーターがどのような企業をサポートするのか、そのサービスがどのような成長を遂げていくのか、要注目です!