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上場とは?種類やマーケットごとの条件も解説

日々耳にする「上場」「上場」「東証一部」などのワード。

ですがしっかりと意味を把握していない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は上場にはどのような種類があるのか、そしてマーケットごとにどんな基準が儲けられているのかも併せてご紹介していきます。

1 そもそも上場とは?

「上場」とは、株式や債券などの有価証券や商品先物取引の対象となる商品(石油、砂糖など)を取引所(市場)において売買可能にすること。(引用:Wikipedia)

すなわち、証券取引所で株式が自由に売買できるようになることを「上場」と呼び、その株式を発行することのできる企業を「上場企業」と呼びます。

上場企業が発行している株式は証券取引所で公開されており、誰でもその発行株式を見ることができます。

反対に株式を公開していない企業を「非上場企業」といいます。

日本には約400万社以上の企業があるといわれていますが、そのうちの99%以上が非上場企業です。実は残りの1%にも満たない約3,600社ほどしか上場企業は存在しません。

2 上場するための条件|株式市場の種類と主な上場企業

上場企業=大手企業というイメージを持っている方もたくさんいらっしゃいます。

しかし大手企業だからといって上場できるとは限らないんです。なぜなら上場するためには非常に厳しい条件をクリアしなくてはならないため。

また、株式市場には種類があり、どの市場に上場するかで審査条件や準備することも大きく異なります。

証券取引所 株式市場
東京証券取引所(東証) ・東証一部
・東証二部
・マザーズ
・JASDAQ
・TOKYO PRO Market
名古屋証券取引所(名証) ・名証一部
・名証二部
・セントレックス
札幌証券所(礼証) ・本則市場
・アンビシャス
福岡証券取引所(福証) ・本則市場
・Q-Board

日本には上記のような株式市場があり、ここからはそれぞれの種類と上場のための条件を解説していきます。

日本にある株式市場(マーケット)
日本の株式市場は4つの証券取引所で成り立っています。

3 東京証券取引所(東証)

3-1 東証一部

東証一部は、株式市場の中でもっとも上場するのに厳しい条件が定められていることでも知られます。そんな東証一部には大企業や誰もが知るような有名企業などが数多く上場しています。

具体的に、東証一部に上場するための条件を抜粋して下記にまとめました。

株主数 2,000人以上
流通株式数 2万単位以上
流通株式時価総額
流通株式数(比率) 上場株券など35%以上
時価総額 250億円以上

上記以外の条件は基本的には「東証二部」と同じです。

上記からわかるように東証一部の条件は非常に厳しく、狭き門です。

条件の厳しさから有名な大企業でも東証一部に上場できないといったケースも多々あります。

※詳細な内容、上記以外の条件は日本証券取引所グループでご覧ください。

日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。

3-2 東証二部

東証二部は、東証一部よりも条件が緩和されます。そのため上場している企業は中堅企業が中心に。

東証二部に上場するための条件を抜粋して下記にまとめました。

株主数 800人以上
流通株式数 4,000単位以上
流通株式時価総額 10億円以上
流通株式数(比率) 上場株券など30%以上
時価総額 20億円以上

東証二部の方が東証一部よりも条件が緩和されていることがわかりますね。

※詳細な内容、上記以外の条件は日本証券取引所グループでご覧ください。

日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。

3-3 マザーズ

マザーズ(Mothers)は「Market Of The High-growth and Emerging Stocks(高成長・新興株式市場)」の頭文字で構成された言葉です。

実は1999年に開設されており、他のマーケットと比較しても新しい株式市場です。主にはベンチャー企業に向けた株式市場であることが特徴です。

株主数 200人以上
流通株式数 2,000単位以上
流通株式時価総額
流通株式数(比率) 上場株券など25%以上
時価総額 10億円以上
純資産
事業継続年数 1年以上

マザーズはより成長性の高い企業が上場できるよう、東証二部よりもさらに条件が緩和されています。そのためベンチャー企業などの創立年数が比較的短い企業などがマザーズに上場する傾向にあります。

※詳細な内容、上記以外の条件は日本証券取引所グループでご覧ください。

日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。

3-4 JASDAQ

JASDAQもマザーズ同様、ベンチャー企業向けの株式市場。

他のマーケットとの違いとしては「スタンダード」「グロース」という市場に分けられていること。この2つの市場はそれぞれの対象企業や条件が異なっています。

スタンダード グロース
対象企業 老舗企業中心 新興企業中心
特徴 新規上場には一定の規模や利益が必要 赤字企業でも成長の可能性があれば上場可能
株式数 200人以上 200人以上
流通株式時価総額 5億円以上 5億円以上
純資産額 2億円以上 2億円以上
存続性・成長可能性 事業活動の存続に支障をきたす状況にないこと(企業の存続性) 成長可能性を有していること(企業の成長可能性)
内部管理体制 企業きぼに応じた企業統治および内部管理体制が確立し、有効に機能していること 成長の段階に応じた企業統治および内部管理体制を確立していること

株式数など基準には変わりがありませんが、企業の存続性や成長性などの基準が大きく異なるのが特徴的。

利益を最重要視しておらず「成長性」があれば上場が期待できる「グロース」と、事業活動の存続に支障がきたさない「存続性」が大切になってくる「スタンダード」。

存続性を重要視するスタンダードの方が上場難易度は高いと考えられます。

※詳細な内容、上記以外の条件は日本証券取引所グループでご覧ください。

日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。

3-5 TOKYO PRO Market

「TOKYO PRO Market」とは、成長性の高い企業と国内外のプロ投資家をマッチングことを目指した市場です。

TOKYO PRO Marketの特徴としては、主に3つあります。

  1. 金融機関や国家、上場会社など3億円以上の資産を持つ個人のことをプロ投資家と定義し、株式を買い付けできる投資家は一般人ではなくプロ投資家(特定投資家)限定。
  2. 「J-Adviser制度」の採用。J-Adviser は担当企業の上場適格性の審査や上場後の維持管理支援などを行う。
  3. 上場に際し明確な数値基準がない。上場の際の審査をJ-Adviserが行うため、彼らが上場を承認すれば上場可能。

さらに、上場後も内部統制報告書や四半期開示が任意提出であることも特徴と言えるでしょう。

4 名古屋証券取引所(名証)

4-1 名証一部、二部

名証は主に名古屋周辺に本社がある企業が上場するマーケット。東証同様に一部の方が審査基準は厳格です。

審査基準項目 市場第二部の上場申請要件項 市場第一部の上場申請要件
(1) 株主数
(上場時見込み)
300人以上 2,200人以上
(2) 流通株式(上場時見込み)又は公募等の実施 流通株式数 2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上

又は

上場日の前日までに公募又は売出しを1,000単位又は上場株式数の10%のいずれか多い株式数以上を行うこと

流通株式数   2万単位以上

かつ

流通株式比率 35%以上

(3) 上場時価総額
(上場日見込み)
10億円以上 250億円以上
(4) 事業継続年数 3年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること 同左
(5) 純資産の額
(上場日見込み)
連結純資産の額 3億円以上
(かつ単体純資産の額 正)
連結純資産の額 10億円以上
(かつ単体純資産の額 正)
(6) 利益の額〈連結経常利益〉又は時価総額 最近1年間 1億円以上
又は
時価総額 500億円以上
(最近1年間の売上高が100億円未満である場合を除く)
最近2年間 総額5億円以上
又は
時価総額 500億円以上
(最近1年間の売上高が100億円未満である場合を除く)
(7) 虚偽記載又は不適正意見等 最近2年間 「虚偽記載」なし
最近2年間 監査意見「適正」
(最近1年間は、「無限定適正」)
同左
(8) 上場会社監査事務所による監査 最近2年間の財務諸表等及び最近1年間の四半期財務諸表等について、上場会社監査事務所の監査又は四半期レビューを受けていること 同左
(9) 株式事務代行機関の設置 株式事務代行機関に委託しているか、又は株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること 同左
(10)単元株式数 上場の時に100株となる見込みのあること 同左
(11)株式の譲渡制限 上場の時までに上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行わないこととなる見込みのあること 同左
(12)指定振替機関における取扱い 上場の時までに指定振替機関の振替業における取扱いの対象となる見込みのあること 同左

4-2 セントレックス

成長が期待される企業に対して、資金調達や企業知名度の向上の機会を提供、近い将来の名証一部、二部へステップアップすることを目的としたマーケット。

そのためセントレックスにはベンチャー企業なども多くなっています。

株主数 200人以上
上場時価総額 3億円以上
売上高 高い成長性を保有していると認められる事業の売上高が、上場の前日までに計上されていること

※詳細な内容、上記以外の条件は名古屋証券取引所公式サイトでご覧ください。

名古屋証券取引所
中部地区が地盤の証券取引所。名古屋市中区。有価証券の取引所。企業概要、市況や上場会社に関する情報等を取り扱っています。

5 札幌証券所(札証)

5-1 本則市場/アンビシャス

審査基準項目 アンビシャス 本則市場
対象企業 北海道に関連のある企業 基準なし
株主数等 a. 500単位以上の公募又は売出し 株主数 300人以上
(上場時見込み) b. 株主数 100人以上
流通株式(上場時見込み)又は公募等の実施 基準なし 上場時の流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上
又は
上場日の前日までに公募又は売出しを1,000単位以上又は上場株式数の10%のいずれか多い株式数以上行うこと
事業継続年数 1年以前から取締役会を設置して事業活動を継続 3年以前から取締役会を設置して事業活動を継続
上場時価総額 基準無し ※1 上場日 10億円以上 ※2
純資産の額 1億円以上 3億円以上
(上場時見込み) (最近2年間の営業利益が連続して50百万円以上の場合は、「正」)
利益の額 最近1年間の営業利益の額が「正」。営業利益の額が「正」でない場合において、高い収益性が期待できる場合を含む 最近1年間の経常利益が5,000万円以上
虚偽記載 最近2年間に終了する財務諸表等並びに最近1年間に終了する中間財務諸表等が記載される有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
又は
不適正意見等
最近2年間のうち、最初の1年間の監査報告書等が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」であり、かつ最近1年間の監査報告書等が「無限定適正」であること ※3
株式の譲渡制限 株式の譲渡につき制限を行っていないこと
単元株式数 100株
株式事務代行機関の設置 株式事務を本所の承認する株式事務代行機関に委託していること
指定振替機関の取扱い 指定振替機関における取扱いの対象であること

本則市場とは札幌証券所でメインとなるマーケット。東京証券取引所でいう「東証一部」や「東証二部」をまとめて本則市場となっています。

「北海道に関連のある企業」を対象として株式市場でもあるアンビシャスも存在しています。

※詳細な内容、上記以外の条件は札幌証券取引所公式サイトでご覧ください。

札幌証券取引所

6 福岡証券取引(福証)

6-1 本則市場 / Q-Board

審査基準項目 本則市場 Q-Board
対象 九州周辺に本店を有する企業又は九州周辺における事業実績・計画を有する企業
株主数(上場時見込み) 300人以上 200人以上
流通株式(上場時見込み)及び公募等の実施 流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上 (500単位以上の公募)
又は
上場日の前日までに公募又は売出しを1,000単位又は上場株式数の10%のいずれか多い株式数以上を行うこと
上場時価総額(上場時見込み) 10億円以上 3億円以上
売上高 成長可能事業の売上高が計上されていること
事業継続年数 3年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること 1年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること
純資産の額(上場時見込み) 連結純資産の額 3億円以上 連結・単体純資産の額 正
(かつ単体純資産の額 正)
経常利益の額(連結経常利益) 最近1年間 5,000万円以上
虚偽記載又は不適正意見等 最近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
最近2年間(最近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定の適正」又は「除外事項を付した限定付適正」 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書等(最近1年間)において、「無限定適正」
最近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」 上記監査報告書又は四半期レビュー報告書に係る財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
上場会社監査事務所による監査 最近2年間の財務諸表等及び最近1年間の四半期財務諸表等について上場会社監査事務所の監査又は四半期レビューを受けていること 「上場申請のための有価証券報告書」に記載及び添付される財務諸表等について、上場会社監査事務所の監査等を受けていること
株式事務代行機関 株式事務を本所の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること
単元株式数 上場時に100株となる見込みのあること
株式の譲渡制限 株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること
指定振替機関 指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みのあること

福岡証券取引は本則市場とQ-Boardの2種類。

「Q-Board」とは、九州周辺に本社がある、または九州周辺で事業実績・計画がある企業」を対象にした株式市場のことです。

※詳細な内容、上記以外の条件は福岡証券取引所公式サイトでご覧ください。

福岡証券取引所
地域経済の発展に貢献する福岡証券取引所。福岡市中央区。金融商品の取引所。法人概要、市況や上場企業に関する情報等を取り扱っています。

7 上場の目的やメリット

上述のように、どのマーケットであっても上々するには多額の費用や長期的な準備期間も必要になります。そのうえ、上場後も情報会の手間や維持費など多くのコストが必要です。

さらには、株主を増やすことで自由な経営は不可能になり、買収されるリスクすら発生するようになります。

しかしながら、上場すれば多くのメリットが得られることも事実。そのため多くの企業は上場を目指します。ここからは上場することでどのようなメリットがあるのかを考えていきます。

7-1 社会的信用の向上

企業が上場するための厳しい審査基準をクリアすることは、企業の安定性や事業の将来性が公的に認められたことを意味するため、社会的信用の向上が期待できます。

とりわけ審査基準が厳しい東証第一部へ上場した企業であれば「優秀な大企業」というイメージが強いため、社会的信用はもちろん知名度の向上にもにつながります。

7-2 資金調達

上場を通した株式発行で多額の資金調達ができるだけでなく、金融機関から融資を受けやすくなる点も上場のメリット。

企業の社会的信用や知名度が上がることで、新規事業開始や既存事業の加速を検討している際など、銀行や信用金庫などの金融機関からの融資を得やすくなります。

7-3 優秀な人材の確保

優秀な人材の確保が容易になることもメリットの一つ。

特に新社会人にとって上場しているか否かは企業選びの際の重大な要素になりうるため、将来性の見込める優秀な人材を確保する機会を増やすことが可能です。

7-4 健全な経営体制を構築できる

企業が上場するためには厳しい審査基準を満たさなければならないため、事前に経営体制の見直しが必要となる場合も。

法令順守や内部統制、コーポレートガバナンスなどの改善過程のなかで、健全かつリスク管理された経営体制が構築されていくこともメリットでしょう。

7-5 イグジットによる利益の獲得

「イグジット」とは、企業再生やベンチャー企業において、その株式を売却することで創始者や出資者が売却益を得ること。

一般的に、上場した際にはその企業の株価は高騰します。そこで、株式を売却することでこれまでの投資分を回収しつつ、さらに利益を得ることが可能になるんです。

イグジットにM&Aを選択肢として挙げる方も。アメリカでは、イグジットの方法としてはM&Aが主流の方法になっているようです。

8 上場の廃止をするとどうなるの?

「上場する」こともできれば「上場を廃止する」ことも可能。

近年では上場することよりも、株式非公開にした方がメリットがあると考えて上場廃止する企業も多数あります。

時間と費用をかけて上場したにもかかわらず、株式を非公開化する理由はなんなのでしょうか?

8-1 株主を限定することによる企業運営の円滑化、および意思決定の迅速化

上場廃止することにより企業は株主を限定することができます。経営権を持っている株主を限定することで、経営レベルでの意思決定を行う際に支障をきたす可能性のある要因を減らすことができます。

経営レベルの意思決定を行う際は株主総会での株主の説明をすることがありますが、時として株主の反対により検討していた事業や計画が止められてしまう可能性もあります。さらに経営状態が悪化した際は、株主から非難されてしまうことも。

上場廃止を行い株式を回収すれば、このような事態を避けることが可能です。

8-2 事務的作業の効率化・コスト削減

上場企業では、財務状況の報告、公開や金融商品取引法で定められた時期の決算など、さまざまな事務的作業がマストになってきます。

このような作業は有価証券報告書の提出や株主保護のために必要ですが、当然ながら資料作成などに時間やコストがかかってしまいます。

上場廃止を行うことで、上場時に必要だった書類作成の事務作業時間やコストを0にすることが可能に。

8-3 企業買収に対する防衛策

上場廃止は企業買収の防衛策としても、有効な戦略の1つ。

株式公開には多くのメリットもありますが、同時に絶対的買収を仕掛けられるリスクが常につきまとうことにもなってしまいます。

株式を非公開化すれば、買収を計画している企業は株式の取得が困難になります。

近年では絶対的買収を行う事例は少なくなっているものの、経営権を守るという意味では上場廃止は有効な戦略と考えられます。

まとめ

今回は上場に関してまとめてみました。

マーケットごとの条件、メリットデメリットや上場廃止時など実に様々な観点がある上場。

上場企業やマーケットなどを見て、どのような経営体制になっているのかを考えるのも面白いかもしれません。

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